小説や映画なんかでは、いつもと違う道を通ったら運命的な出会いが──みたいな展開がザラにある。
期待しているわけじゃないけど、なんとなく新しい出会いを求めて、わざわざ入り組んだ路地を通っている。
陽の光も入り込まないのでコケが絨毯のように敷き詰められている。
警察が何人か配備されてはいるものの、パトカーの喧騒からは遠い。
住宅街が逃亡犯騒ぎでうるさいから避難してきたのか、たむろしている野良猫がいつもより多い。
人懐っこい飼い猫も紛れているのだろう、普段近づいただけで逃げるはずが、何匹かしっぽを擦り寄せ足元にまとわりついてきた。
これだけでも裏路地を使った価値がある。
かわいい。