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静かな森の中、爽やかな心地よい風と、微かに響く小鳥のさえずり、彼女は大きな大樹の枝に囲まれた、干し草のベッドの上でゆっくりと目を覚ました。
「ん…ふぁー…天界の始祖様のお遣いでヘトヘトだったし
、よく寝たわー」
どこからかリスのハピーがするりと幹を降りて、彼女の目覚めを茶化しにきた。
「ユーミン!やっとお目覚めかい?まる1日寝てるもんだから、お腹すいたんじゃないの?」
まだ寝惚けたままで、そのユーミンと呼ばれる小さな女の子は、リスのハピーの声に大きな欠伸をして答えた。
「あら、ハピー!?それより、なんだか背中がこそばゆいわ」
干し草のベッドから立ち上がると、ユーミンはハピーに背中を見てほしいと、背を向けた。
「んー、なになに…。あ!ユーミン!?せ、背中に!」
ハピーは慌てた様子で、言葉が続かないようだ。
「ハピーなんなの?そんなに慌ててー」
ユーミンは、笑ってハピーをなだめた。
「ユーミン!!羽根だよ!羽根!背中に!」
「あら、私をからかってるのね。もう、ハピーのイタズラは毎回なんだから、今日は引っかからないわよ」
「違うよ!本当に羽根があるんだよ」
ユーミンはハピーが仕掛けるイタズラにことごとくやられていることから、信じようとはしなかった。
「ユーミン冗談だと思うなら、いずみの畔で見てきなよ」
ハピーがいつになく慌てる様子に、ユーミンは仕方ないとのってみることにした。
「わかったわよ、その代わりなんにもなけりゃそのホッペのドングリは頂くからねっ」
ユーミンは、木のツルで出来たハシゴを降りて、畔へと歩く。ハピーもあとを追いかけて、大樹を降りた。
(どれどれ?)
ユーミンはいずみに映る自分をそっと覗き込んだ。
(ふーん、変わりないじゃない?背中は…と…)
くるりと身体をよじり背中が湖面に映るその姿をみて、ユーミンは驚愕した。
「えぇ!!は、は…ね…羽根だわー!!」
森中に響き渡るような、大声に森の動物達が一斉にざわめいた。