僕は吐き気がするくらい温かな日差しに「なんですかあなたは。みんな気持ちいいって言ってるけど僕みたいな憂鬱な人にとってはあなたの気持ちよさは害悪でしかありません」と心の中で文句を言うと、本屋さんの自動ドアを通り、忍者のような足取りで、少年漫画のコーナーに向かう。
別に万引きをしたいからこんなことをしているんじゃない。
むしろしたくない。ただ単に本を買う現場を見られたくないのだ。小学5年生ながらも戦争や虐待、野蛮な暴力が支配しているようなこのご時世に物語まで幼稚で暴力的になっているという現実に僕は心底呆れている。
どうしてみんな女の子の様にメルヘンでキラキラした世界を求めないんだ。こんな本を買うところなんか誰にも見られたくないっ!僕はそんな思いを胸に秘めながらもあくまで自然に店員さんに1000円札を差し出すと600円と少しのお釣りと少年漫画という名の呪われた書物を手に入れた。
どうせ、この本がなければ僕はいないのと同じなのだから
何を隠そう……僕はいじめられているのだ