桜がひらひらと舞い散る中、見慣れぬ少女がいた。
「…目立ちたくないなぁ…」
彼女は今日ここに来た転校生である。親が転勤となったため、この学校に通うこととなったのである。友達できるかなぁ、など呟きつつ、校門をくぐる。
教室がやけに騒がしい。普段はあまり仲が良くない男子と女子も、今日はかなりまとまって何か喋っている。廊下から足音が聞こえたと同時に誰かが、「もう朝会じゃん!座るぞ!」と言い放った。皆ざわざわしながら席に着く。扉が音を立て開き、担任と思われる人と―。
1人、少女が入ってきた。
クラス全体が騒がしくなった。担任と思われる人は少女を教卓の辺りに誘導し、小声で「自己紹介をしてね」と囁いた。
「…佐藤華です。」
少女…華が名前を言い終わった所で、生徒が口々に「何処から来たの?」「趣味とか特技って何?」などと質問を投げかける。
1人生徒が、「せんせー、華ちゃんは何処の席に座るんですかー?」
「(…いきなりちゃん付けで呼ばないでよ)」華は少し苛立ちながらも顔には勿論出さず、黙っていた。
「あーそうだな、じゃあそこの窓際が空いているからそこにしよう。隣の人は今日は休みだが…」担任が生徒の質問に答えつつ華に席を伝えた。
「はい。」華はそれだけ言って席に着いた。
「(前の学校は私がアニメ大好きって事が知られて友達いなかったからなぁ…ドルオタはいっぱいいたけど2次元と3次元の違いでしょ…なんでそうなるんだか。まぁ、平和に暮らしたいから家だけでこういうの楽しめばいいかなぁ…)」
学校ではどう動こうかなぁ〜と考えている内に時計の針は1時間目の5分前を指していた。
登場人物について。
・佐藤 華(はる)
小説の舞台となる学校に転校してきた中学二年生。都合上来たのが4月の中旬くらいになってしまった。前の学校ではアニオタという理由で友達ができなかったため、それを隠す事にした。
担任とか他の生徒は基本モブだし重要キャラは出る度に説明する事にします。