それが運命だとしても、

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22:遥架◆/RIeTN.:2020/06/21(日) 08:35


 >>21
 ありがとうございます!ワクワクしてもらえたなら良かったです!なるほど、むしろ音楽は聴いてたらなんも思いつかなかったんですが世界観にあってなかったのかもしれませんね。ちょっと試しにやってみます。

 全く、気まぐれって怖いですね。5日も空けたくせに今日は更新するらしいです。この次は本気で決めてない。あとネーミングセンスの無さはご了承下さい。そしてほぼ説明会。ごめんなさい。
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 「…去った、のか?急がなくては…!!」

 そう言ってヴィクターはエマに両掌を向け、何かを念じ始める。時間が経つにつれて頭を抱えたり、体がフラフラすることが増えていっているように見える。

 「…ヴィク、ター?」

 すると心臓を刺されたはずのエマが起き上がる。代わりにヴィクターの方は彼女が目覚めたことを確認すると力尽きたかのようにフラッと倒れこむ。
 エマの心臓の傷はいつのまにか消えていた。

 「…またあの能力を使ったのですね。私の為に無理をしたというわけですか」

 彼の能力は生命力を分け与えることで相手の傷を回復する能力である。ヴィクターの生命力は人より少し多く、回復も少し早いのである。これはヴィクターに限らず、誰しもが少なからず持っている「魔術適合体質(まじゅつてきごうたいしつ)」と呼ばれるもので、体質で向いている魔術が決まるというものだ。勿論、体質に向いている魔術しか使えないというわけではないが、大抵の人間は体質に向いた魔術を駆使する。

 エマは体格が良いヴィクターを軽々しく持ち上げ、自室のベッドに寝かせる。気を失っているヴィクターを連れて歩くわけにはいかないと判断したからだ。

 ベルディアの返り血がついた姿をヴィクターを治療しながら思い返す。ヴィクターの傷だけではあんなに多くの血の量にはならないだろう。それに、自室に誰かが駆けつけてくる気配もない。つまりは…

 「っ、お父様、お母様ぁ…」

 エマはおそらく殺害されてしまった母と父の姿を思い浮かべて涙を浮かべる。使用人が大切でないわけではなかったが、肉親を失った悲しみは何よりも大きかった。

 治療を終え、一人涙を拭うエマの耳に足音が響いた。誰かが廊下を歩いているらしい。

 お母様とお父様だわっ!
 今のエマに冷静な判断は出来なかった。母と父だと思い込んだエマは即座に廊下に出ていく。そこにいたのは母でも、父でもない。



 ーーーベルディアだった。
 


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