はぁ…。
抜けるような空にため息を吐く。でもつくだけ無駄なのは知ってる。
物語の主人公しかり、ヒロイン、ヒーローもまたしかり。どれも私には合わないのです。
誰か白馬に乗ってなくていい、かわいい車に乗った王子様は迎えに来ないのでしょうか。
はぁ…。
「ちょいちょい。ため息ばかりついてどうしたのよ?」
「なんかさぁ、人生に変化がなくって、いい方の。」
「そうねぇー、あたしだって彼氏ほしいわー。」
「うーん、別に彼氏じゃなくっていいんだけどさ、家の前に突然遊園地ができるとかさ、ケーキが大量に億いられてくるとか!腐らないやつ!」
「現金なヤツ…。」
あんたね、という親友からのありがたい愚痴は、担任の新人、中島先生が入ってきたことにより妨げられた。
ありがとう、先生、これで遊ぼう!とかなったらいいのに…。
なるわけなかった。代わりに、体育祭実行委員を選ぶ時間となった。帰りたい。
前に出た学級委員の2人が指揮を執り、話を進めていく。
最初にクラス応援旗係、応援団員の選考、そのあと、その他さまざま、多種多様な係を決め、時間も残り少なくなったところで、実行委員なる者の選考が始まった。
やはり、春休みからの一か月余りでは人間考えなどそう簡単に変わる者でもなく、中学と同様誰
も手を上げない。それどころか、皆氷技でも食らったようにしんとして動かない。
「うーん、いい係だと思うんだけどな、先生は…。」
またしーんと沈黙。お通夜かなって。
じゃあしょうがないか、と先生はゴソゴソ、教卓の引き出しから何やらビニール袋を出した。いや、まさか。
「くじ引き…でいいかな。」
マジだった。まあでも、クラスで男女ひとりずついうことは、私に当たる確率は17分の一。
まあ、そこまで高い確率でもないよね。
「なんでぇ…」
「よかったじゃん、アンタ変化が欲しかったんでしょ?」
「いい方のって言ったのにぃぃ…」
「まあまあ、決まったことじゃん。」
「当たってないからって嬉しそうにしちゃって。」
机にへばりつく私の顔をしてやったり顔で眺める晶ちゃんにむう、と大げさにふてくされて頬をつつく。
「運動得意じゃないって言ったのに…」
「運動関係ないぞって言われたらもう断る理由もないわね。ドンマイ」
「ぬうう…。体育祭なんて嫌いなのに…。」
「ハイハイ、次、男子選考だってよ。前向いて。」