ピーター・パン~崩れかけたネバーランド~

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2:AL ◆6.:2020/10/15(木) 20:00

ーー私はもう、大人になる準備が出来た。
でもそれは、彼らの存在を忘れたり信じなくなる
ことじゃない。ネバーランドは、目を閉じれば
今も私の心の中にあるから。


「さよならピーター!ずっと信じてるわ!」

ーーウェンディはピーターパンに別れを告げました。
大きく大きく手を振ります。ですがピーターは
手を振り返しません。それどころか、そこから離れようと
しないのです。

「ピーター?何か問題でもあったのかしら?」

心配になったウェンディは聞きました。
すると、そこでピーターはようやく口を開きました。

「ウェンディ、どうしてさよならだなんて言うんだい?
まるで、永遠の別れみたいじゃないか」

そんなことをピーターが言うものですから、ウェンディは
すっかり困ってしまいました。

「だってピーター、私達、二度と会えないのよ」

「それは違うね。だって君は、人間界……すなわち
ロンドンとネバーランドを繋ぐ架け橋なんだから!」

ピーターのこの言葉に、ウェンディは大層驚きました。
そして、彼の言葉の意味が理解出来ませんでした。

「ロンドンとネバーランドを繋ぐ架け橋?私が?

ピーターは大きく頷きました。

「そうさ!君には重要な役目がある。ロンドンに
どのくらい僕らの存在を信じてくれている子供がいるか
調べて貰う。そして、その結果を僕に伝えるんだ」

ピーターパンは笑顔で言いました。
その笑顔に、ウェンディはドキドキしましたが、すぐに
我に返って言いました。

「私、飛べないわ。貴方に何度もここへ来て貰う訳にも
いかないでしょう?それに、妖精の粉も沢山必要に
なってしまうし」

突然ピーターは、ウェンディに左手の薬指を出すように
言いました。ウェンディは彼に言われるまま、薬指を
出しました。すると、ウェンディの美しい薬指に
綺麗な指輪をはめました。それはまるで、結婚指輪のように
見えました。

「まぁ、綺麗な指輪ね」

ウェンディはうっとり、自分の薬指に光る指輪を
見つめました。ピーターはまた話し始めました。

「その指輪に、ネバーランドに行きたいと願うと
パッとネバーランドに行けるんだ!凄いだろう?
いつだって行けるんだ。君が妖精や僕らの
存在を信じる限りね」

ウェンディは嬉しくなって、ピーターパンを抱き締めました。

「とっても素敵!嬉しいわピーター!!」


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