親が反社会的勢力のせいでバイトができない

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16:匿名のギャング:2020/12/03(木) 16:27







設定しておいたスマホのアラームが、ぼんやりと覚醒しきれていない耳に入る。
珊瑚は気だるさに抗い、充電ケーブルに繋がれたスマホを操作して身体を起き上がらせた。

「6時……」

幸い学校の無い土曜日なので二度寝をしても問題は無い。
しかし、いつもの起床時間に身体が慣れてしまって再び眠りにつくのは無理がありそうだ。
薄いブランケットを敷いただけの雑魚寝のせいで寝違え気味だが、珊瑚は深く気にせず伸びをした。

「んだよ、もう起きたのかよ……」
「あ……おはよう、ございます……」

珊瑚の設定したアラームで目が覚めてしまったチェスコは不機嫌そうに顔を顰めたが、すぐにタオルケットを被り直して二度寝へ戻る。
エアコンで暖かいのをいいことに一糸纏わぬ姿で寝ているようで、程よく筋肉のついた脚が放り出されている。
ベットのスプリングが軋んだ。

(なんか欧米人ってやたら裸で寝るよな……男とはいえ気まずいし目のやり場に困る……)

「なに見てんだよ。飯なら冷蔵庫から勝手に食えば」
「えっ、あ、はい……」

朝食の催促だと勘違いしたらしいチェスコは、枕に顔を顰めたまま曇った声を出す。
珊瑚はチェスコに言われて初めて、自分が空腹であることをようやく思い出した。

スカスカの冷蔵庫から消費期限切れの食パンを一枚取り出し、トースターへ入れずにそのまま咥える。
乾燥気味でパサパサしており、決して美味しいとは言えないが、この際腹を満たせれば不味くても構わない。

充電ケーブルから画面の割れたスマートフォンを引き抜くと、親指をホームボタンに乗せてパスコードを解除した。

(昨日のゴタゴタで画面は割れてるけど、ネットに繋がりさえすれば勝ちだな)

ブックマークしていた有名都市銀行のサイトを開き、ネットバンキングのログインページへ飛ぶ。
いつか使えるかもしれない、とこっそり浅山紅葉のお客様番号とパスワードを入手していた珊瑚は、英字キーボードを慣れた手つきでタップした。
秘密の質問も、彼女の溺愛する息子に関するものに絞って入力すれば良い。
三回ほど入力した所で、あっけなく"浅山紅葉"名義の口座が開かれる。

「8万……」

ゼロが六つ並ぶ残高に、珊瑚は小さくガッツポーズを決めた。


匿名のギャング:2020/12/04(金) 10:58 [返信]

訂正 ゼロが4つ


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