「みなさん、おはようございます」
「きゃ〜っ、柚咲様!」
「いつ見てもカッコい〜い♡」
「でも……隣にいる変な女は……どなた?」
「なんだかみっともないし品も無いね。地味だし」
好奇の視線、羨望の眼差し、憧れの的──!
正門を通るだけで学園中の視線を集める……さすが一角家のお坊ちゃん──!
「……君がローラースケートで馬鹿みたいに回りながら歩いてるのが物珍しくて視線が集まってるんだろ」
「あれー、声に出てた?」
「思いっきり。君といると僕の品格まで疑われる。横に立たないで欲しい」
「えー! でも校則に靴の指定もローラースケート禁止も無いし……この方が敵が来た時すぐに追えるんだよねぇ、分かってよ」
そう答えると、一角お坊ちゃんは舌打ちをして、もう何も言わなくなった。
ポメラニアンみたいに可愛い顔して怖すぎる。
他の人の前では柔らかい笑顔を振りまく一角お坊ちゃんだけど、専属ボディーガードである私の前では高圧的というか冷たいというか。
「やっぱまだ3日だもんな〜。打ち解けるのは時間かかりそう……」
お坊ちゃんと契約をしたのは、つい3日前だ。