憂え、新時代の日の出を

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3:水色◆Qc:2021/04/06(火) 20:05

何かが起こった────というか、酒場の壁が······異国船からの大砲射撃で吹っ飛んだ。
風圧や飛び散る破片、そして何より砲弾で、屈強な男共は次々となぎ倒されていく。······また、吹っ飛んだのは、大きめの破片を食らった女性も同じだった。

破片やその他諸々を食らわずに済んだ男共は顔を見合わせる。······風穴から見えるは、こちらに砲門を向ける異国船。
血の気が引く音が響いた。




「······いてて······」

その直後のことである。······たった今出来たばかりの瓦礫の山から、さっきの女性が呻きながら出てくる。······その体には割れた木材がいくつか刺さっていて、···血が相当流れていた。
それを見た男共は、再び血の気が引くような思いを味わった。······即死してもおかしくないダメージは負った筈なのに────という思いと、単純に絵面が悪かった。
他に巻き込まれた物の死体が、臓物が周囲に転がっていた。
······それでも、彼女は立ち上がる。
体に刺さった木を引き抜くたび、血が噴き出す。その血を浴びながら、穴の向こうの異国船を見据えて、


────「あの船を沈めます」。


空気が凍りついた。
声すらも出ず。

······そこでもう一発、砲弾が放たれる音が響く。




「······っ!!」

丁度風穴にそのまま入る軌道。
······女性は、近くにあった樽を無造作に抱えると、全力で······向かってくる砲弾へと、投げた。

炸裂する。

樽の中身はアルコール。それも純度がかなり高かったようで、砲弾に激突した瞬間炎上した。
距離がかなりあったので、幸いにも火は酒場には燃え移らなかったが────


「······今度は火薬入り砲弾······?徹底的に破壊するつもりかな」
炎上しながら落ちていく樽を見て、女性は一人呟く。そして、くるっと振り返り、

「誰か、私と行ってもいいという人は?」
静まり返る場に、問いを投げかける。


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