「ごめん、別れよう」
彼氏からそう告げられた。
付き合って2か月。昨日まで本当に好き同士でいたはずなのに。
「ど、どうして…」
やはり腑に落ちない。面倒くさがられてもいい。理由が聞きたかった。
私の問いに彼は黙ってしまった。言いづらいのだろう。私は自分の中にひとつ思い当たる節があった。
それを利用さえすれば復縁できる…!
「いや、やっぱいい。私こそごめん。別れよっか。じゃあね」
潔く諦めたふりをしてその場から立ち去った。
思い当たる節というのは私の体型だ。
周りの人より“ちょっと”太っている。これは体質や薬の副作用なんかじゃなく、ただ単に暴飲暴食をしているせいだ。そんな私の体型が嫌なのだろう。
普通の健康的な体型になって尚且つ維持できれば復縁の見込みはある。
期待を胸に早速ダイエットを始めた。
そこから3か月。
その間、誘惑に負けることなく減量し続けついに身長160cmの体重55kgという普通の体型を手に入れた。筋肉もついたし普通よりも健康体な気もする。
そしてだいぶ断れたがなんとか元カレと遊ぶ約束を取り付け、今の体を見せつけるべく元カレを待っていた。
運が良ければまた私を選んでくれるはずだ。
「おまたせ…」
「!!ううん、今来たばっかだよ。あの……どうかな?結構頑張ったんだけど………」
彼は一瞬目を伏せ…ゆっくりと口を開いた。
「あのさ、復縁できるとでも思ったの?」
めのまえがまっくらになった!
まさか言われるなんて思ってもいなかったからだ。
いや、ちょっとの希望で復縁できるかなって思っただけであって絶対できるなんて思ってなんかないよ?…と言おうとするがうまく舌が回らない。
「一度無理になった人ともう一度付き合えるわけない。君のその体型、どうせすぐ戻るんでしょ?付き合い始めたときもダイエットしてたけどすぐやめたじゃん」
確かにそうだけど今回は本気でやってるから。…喉になにかがつっかえているような感覚。言いたいのに言えない。
「体質じゃないんだよね?あの体型。一瞬ダイエット始めたのも健康でいなきゃってわかってたんだよね?それなのに全然しなかった。君のこと好きな人があんな間近にいたのに…」
「あ…」
やっとわかった。
彼が嫌いなのは私の太った体型じゃない。
好きな人尽くせない私だ。
「それが離れた途端頑張り出すとか遅いよ?もう君のこと好きだった俺はいないんだよ?…だから復縁はできない。俺はもう好きになってくれてる人ができたし…もう会わないから」
結局、なにも言えなかった。
そのままふらふらとコンビニに寄り…菓子パンを買った。お菓子も、弁当もカップ麺も、なにもかも。
我慢はやめることにした。意味がなかったんだ。全部。
小さくなった胃に大量の食べ物を流し込んだ。
吐きそうになったが限界まで食べ続けた。
もうこれでいい。頑張るのはやめた。
私がどうなろうと誰も望んでない。見てもいない。
「隣の席のあいつ学校来なくなったよなぁ」
「元カレに復縁迫ってからだよね?」
「そうそう。だいぶ痩せてたよな。今どうなったんだろう」
「オレこないだコンビニで見かけたけどリバウンドしてたぞ」
「うわまじか…あーあ、せっかく可愛かったのに残念」
最後のは主人公の友達たちが喋ってる様子だったりします
実はおまえの努力に惹かれてるひとがいたんだよ…♡
でも主人公は家に引きこもって必要以上に飯を食らうゴミクズと化したので気付けません
救いはないです