*いじめ*
~1日目~
朝、学校に来たらみんなが僕をみた。
「どうして八つ橋くんは頭が八つ橋じゃないんだろうねー」
「八つ橋って美味しいよねー」
「「ねー」」
結構グサリときた。僕が八ツ橋だったらよかったのか?
「八つ橋ってちょっと何言ってるか理解できねーよなー」
「なー」
お前らの知能が低いだけだよ。
「そういや八つ橋ってこの前のテスト0点だったんだって」
違う!僕は100点だった!
「「「「八つ橋って変だよねー」」」」
こうやって朝から帰るまでずっと悪口を言われた。
~1日目の夜~
「お母さん。生八ツ橋の帽子作って!」
頼んだら本物の八ツ橋で帽子を作ってくれた。もちろんニッキの三角のやつだ。
よし、これでもう悪口とはおさらばだ!
~2日目~
教室に入ったらみんなが僕をみた。
みんな驚きの眼差しで僕を見つめてくる。
「「「「え!?」」」」
「こいつ…」
「ついに…」
「「「「八ツ橋被ってやって来た!!」」」」
「お、おいみんな、八ツ橋食ってやろうぜ…!?」
ガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブガブ………………………
八ツ橋は消えていった。残ったのは顔についた餡子だけ。
そうやって僕の作戦は崩れ落ちていった。
~3日目~
今日も八ツ橋をお母さんに作ってもらって被って学校に行った。
「あ、そういや昨日の八ツ橋、あれ全部ゼラチンの塊だった。めっちゃまずかったんですケドォ」
え、そんなの知らない。
「私、今まで八ツ橋食べたことあるようにいってたけど、食べたことないの。
で、昨日家に帰ったら、ママが八ツ橋を買ってきてくれてて……
全っ前違う味だったんだよネェ」
違う!お母さんはちゃんと本物の八ツ橋で………
「結局お前は八ツ橋に成り切れてねーんだよ!」
「ゼラチンの塊八つ橋くん♡」
また悪口だ。もうこんなのやだ。
~4日目~
ガタン!
僕が教室に入ったら、机が倒れる音がした。
「あ、ゼラチンの塊くんだ。」
「まだ学校にくんのかよ…………」
「あっ、そうそう、忘れてた。行っとくけど"今日からお前の席ないから"」
あっさり言われて、最初は何言ってるかわかんなかった。意味がわかった瞬間ショックだった。ショック以外何もなかった。ただ、ただショックだった。
僕が一体何したっていうんだ。何もしていないじゃないか。僕が成績いいのが羨ましかったのか?なら自分も努力すればよかったじゃないか。違うのか?
『ぼ、僕のどこがいけないんだ。何が?ねぇ。教えてよ!』
「自分の心に聞いてみなよ」
「俺たちだって傷ついてんだよ。」
え?悪いには僕じゃない。間違っているのは僕じゃない。みんなの方だ!
「とりあえず家に帰れよ。俺たちが先生に八つ橋が休みだと伝えておくから」
「そうよ。理由がわかったら、手紙か直接私たちに伝えにきて」
そうやって僕は家に返された。
~それから数時間後~
何がいけないんだ。テストで100点がいけないのか?
八つ橋っていう苗字のことか?わからない。
この前のテストの点数を教えなかったからか?それは100点だと伝えるとみんなが自慢だって僕を貶すからだ。
この前うっかりあいつの手をドアに挟んでしまったこと?
おかわりでフルーツポンチのパイナップルだけを取っていったことか?
僕があまり喋らないからか?なんなんだ。
手紙に書こう。僕の思い当たることすべてを。明日は学校に行きたくないから休もう。
風邪っていうことにしておこう。
~5日目~
「あっ、あいつから手紙が来てる」
「なになに?俺の手を挟んだこと?ちげえよ。」
「パイナップルだけを取った?何それ知らない。てかパイナップルが異様に少ないのは八つ橋のせいだったの?」
「あのさ。みんなで八つ橋に手紙送ろう?全部違う。うちらの大事な友達を殺したのはお前だろって。」
「そうだな。書こう」