屋敷の前に物乞いが
ぼろ布まといやってきた
奥様どうかこの私
雨風しのげる馬小屋に
一晩泊めてくださいな
屋敷の奥様優しくて
物乞い哀れに感じては
善意のナイフを剥き出しに
ニコニコ笑顔で差し出した
一晩といわずいくらでも
ぼろ布だけでは寒かろう
私に不要な服の山
物乞いあなたにゃ必要だ
哀れな物乞い悲しくて
涙をぽろぽろこぼしては
優しい刃物を胸に刺し
何も言わずに泣いていた
奥様怪訝な顔をして
なぜ泣くのかと問うてみた
物乞い悲しく目を伏せて
なんでもないと呟いた