そのに【クラス替え】
3年生の玄関に向かうと、同じ3年になる同年齢の男女たちが群がっていた。
「同じクラスになれると良いですね」
「だな」
群衆を必死に掻き分け、クラスを決めるポスターを見る。
美野風高校はそれぞれ5組まであり、1クラスに34人。
同じクラスになれる確率は5分の1なのだ。
しかも3年となると夏から受験勉強もあり、中学時代の悪夢を思い出してしまう。
嫌だな、なんて思うが残念ながら時間には抗うことはできない。
俺と真帆は3組だった。
「どうでした!?」
「同じクラスだったぞ!」
そう聞いた真帆は跳び跳ねた。
余程嬉しかったのだろう、嬉しそうなオーラが滲み出ていた。
真帆と駄弁っていると、突如膝カックンをくらった。
ピン、と足に体重を掛けて立っていた俺は膝カックンをまともにくらい膝から崩れ落ちてしまった。
「ってーな何すんだ!」
「ってーなじゃねーよ!」
仁王立ちで怒鳴る真帆の面影があるこの可愛いげのないゴリラ女は真帆の双子の姉、『秋風真琴』。
茶色い髪をショートにして、スカートの下からジャージを履いている。
「あ、真琴。真琴も私たちと同じクラスでしたよ」
真帆は身内にも敬語で会話しているようだ。
真帆の報告を聞いた真琴は真帆と同じクラスになれた嬉しさで喜んでいたが、余程俺と同じクラスになるのが嫌だったのか俺を睨んでいた。
「よろしくお願いしません」
俺に近寄り、そう言い舌を出すゴリラ女。
ムッと来た俺はこう返してやった。
「こちらこそよろしくお願いしませんよクソゴリラ女が」
と。
「ンだと?」
「やんのかゴラ」
俺とゴリラ女の目線から火花が散る。
「二人とも止めてください!」
真帆に止められ渋々喧嘩をやめるが、目線からは相変わらず火花が散っている。
双子とか兄弟やら姉妹やらは、片方があんぽんたんだともう片方が立派に育つと聞いたが、やはりそれは本当のようだ。