ガリガリガリ……
「たつやぁー、たつやあぁー」
ガリガリガリ……
母さんはうるさい。僕は今仕事をしているんだ。それを毎日毎日邪魔しに来ては、騒音で部屋を埋めつくそうとする。
仕事が捗らないじゃないか。
ガリガリガリ……
僕は痒くなった首を掻いた。首を掻けば、白っぽい粉が床に落ちていった。
「たつやぁ、お願いだから出てきてぇー」
うるさい、僕は仕事をしているんだ!
『お願いだから』?んなの知るか。僕は僕の考えだけに従うんだ。
ガリガリガリ……
「たつやああああ!!」
ああくそ!失敗しちゃったじゃないか!
ああ、ああ、あああああ、こんなに目安の線から、大きくずれてしまっているよ!
これはとても難しい作業なのに!
どうしよう、完成の形を変えるしかないのか……___
「たつや!出てきなさい!たつやッ!」
「ああもう、うっせぇんだよッ!!黙れよこのクソババアがあぁ!!僕ぁねぇ、今仕事をしてるんだよおおおッ!!!!」
再びガリガリガリ……という音がする。
それからしばらくして、僕はなんとか腕を切り終えて、ふぅと一息ついた。
予定よりずれたけど、まあ、これくらいなら良しとしようかな……。
あのババア、仕入れに行くときに視界に入ったら、すぐに家具の飾り物にしてやる。
たつや、と僕を呼ぶ声がする。
僕はそれを無視して、腕と胴体、そして足を組み立てていく。
今日作ったのは小物入れ。材料が小さいからしょうがないけど。
取り出した要らないものは、近くのレストランに売って金を得る。しかも、一つの臓器につき5万円!
ふふふ……美味しい仕事だ。
「たつや、いつまでそんなことをしているの……警察が怖いなら、山奥へ行こう。母さんと一緒に。ね?いいでしょう、たつや」
「うっせえ、黙っとれクソババアァッ!!!!」
ああ、イライラする。気を紛らわすため、今日中には小物入れを完成させてしまおうかな。
___………あ。
この頭どうしよう。あのレストラン、脳みそ取り扱ってたっけ……小物入れには頭要らないんだよなあ。
僕はその頭を抱えた。