【突然思いついて鳥肌たった小説書くわ。あっ、すみれ視点です。】
『あたたかい手』
看守の仕事を始めてかなりの時間が過ぎたように思える。
仲間達と他愛のない話をして、脱獄の計画練って、失敗して、、、そして最初に戻る。
この世界はループしている。それを知るのは看守と所長のみだ、、、一名を除いて。
彼女の名はナナコ。本名・素顔・出身地・etc,,,謎に包まれた金色の目をした少女。
ノクターナル刑務所の秘密を知った彼女にのみ与えられた真実、、、それが“ループの記憶”だ。
前にこの特典を与えられた人は、精神崩壊を起こしてアウト。まぁ常人なら真っ当な反応だろう。
でもナナコは精神に異常が見られない。たまに彼女が怖くなる。でも優しく、姉御肌である彼女は皆の中心になっていた。
ある日、いつものようにカウンセリング室の本を整理して戻ろうと思うと、、、
「ひゃぁっ?!」
我ながら恥ずかしい声を出したと思う。ただ背後にあった椅子に人が座っていただけなのに。
“それ”はテーブルに突っ伏していたが、長い髪と服装で誰か察した。
「な、ナナコさん、、、?何してるんですか?」
もしかしたら驚かしてくるんじゃないかと思って身構えていたが、杞憂だった。
「ん、、、あぁ、ごめん寝てた。」
「全く、こんなとこで寝ないで下さいよ。」
「はいはい。すぐ戻りますよー。」
本当に訳が分からない人だ。そういえば最近は寝てる事が多い気がする。部下にいじられ疲れてただけかも知れないが。
とりあえず休憩室で紅茶飲もうかなと思い、部屋から出ようとしたが、、、テーブルに本が放置してあった。
先程ナナコが突っ伏してた場所なので枕にしてたのか?と思い本を手にした。
「何か読んでたんでしょうか、、、?“ヒトの身体構成”ねぇ、、、」
こんな本読むのだろうか?まぁどうでもいいから早くあやちゃんのクッキーでも食べようかな。そして部屋を後にした。
翌日の早朝のことだった。いつものように牢屋の方へ向かった。
「、、、鉄臭い?」
この生臭いような鉄の匂いは知っている。死刑を見ていたから当たり前だと思うが。
血。しかも出血から数分ぐらいだろう。背筋が凍る。
皆は大丈夫だろうか?走って牢屋へ向かった。
「嘘、、、でしょ、、、?」
匂いの発生源は衣夢の牢屋だった。衣夢はぐったりとしている。胸が割かれ血が流れている。
外傷から見て鋭利な刃物で切り裂かれているのは確実だ。しかし誰が?
次の瞬間、カウンセリング室から叫び声が聞こえた。
早く、早く行かなければ、運動音痴な私でも間に合ってくれ。
しかし、、、次の被害者も死んでいた。
「ナナコさん、、、?!」
長い髪。昨日着ていた洋服。顔が引き裂かれ、心臓にナイフが刺さっている。乾いた血の匂い。
昨日あんなに笑顔でいた彼女は、、、もういない。
涙が自然に流れてきた。彼女も死ぬ前に泣いたのだろう。床に乾いていない涙が落ちていた。
【続きます。】
【これで格闘系として成り立つかなぁ?>>177の小説後の設定です。】
⦅もしも、彩目がすみれを完全に見捨てていなかったら⦆
グシャッ
離れた場所から“聞こえる筈のない音”が聞こえた。すぐに足音が近付いてくる。
ああ、やっぱり君のせいか。私はいつもの笑顔を見せておく。
「いやー。本当に最高のエンターテイナーだよ、、、“ナナコ”。」
私が名前を呼んだ“そいつ”は、人を殺めたというのに満面の笑みだった。奴は無言でこちらを見ている。
「あー、もしかしてもう全員やっちゃった?退屈?」コクリと頷く。私の計画通りには進んでいる筈だ。
そう、奴が“全員”やったという事以外は。
「ねぇ。すみちゃんもやったの?」何を笑っているんだ?私は新見川、、、すみちゃんは生かしておくと言ったのに。
「そうか。じゃあ!」その瞬間、私が持っていた“彼女の遺品”が奴の横の壁に刺さる。
「へぇ、よく私が武器を構えている事が分かったね!それじゃあ早速、、、みんなと同じ場所に逝かせてやる」
奴はその言葉を聞いた瞬間、これがいつものジョークではない事に気付きナイフを振り下ろしてきた。
私でもまともに刺さればあの世行きだろう。素早く避け、距離を取る為に蹴りを入れる。
奴が後方に吹き飛ぶ。これで終わりだろう。一応モーニングスターを体に打ち込んでやる。ざまぁ見やがれ。
さて、さっさとループの準備と奴の今回の記憶を消しておかなくては。そう思った時だった。違和感に気づいたのは。
「、、、奴の死体が消えた?」それだけじゃない、さっきモーニングスターを打ち込んだ壁が無傷だ。
「私がループしてないのに巻き戻った?」誰かが近づいてくる。しかも走って。何故だ?奴は歩いてくる筈なのに、、、
その時、肩に激痛が走った。
「ぐっ、、、」奴だ。ナイフが肩に刺さったんだ。何故?世界がおかしい。すぐに原因が分かった。
そう、“奴が巻き戻した。”プログラムであり世界に関わる能力を持った新見川すみれの消滅。
それが世界に不具合をもたらしたら?もし奴が偶然、“意図した時間に戻せる力”を手に入れたら?
奴の意図した時間は、私と戦う直前。
「、、、ハハッ。何?そんなチート使って楽しい?ねぇ?【@#\%】さん?」
そう口にした途端、今まで冷静だった奴が私の胸倉を掴んでかかった。やはりこれはタブーか。
心臓付近に刺そうとしてくる。とっさに奴の頭を蹴り上げ、ようやく離れた。
「地獄に落ちろおおおおおお!」私が叫ぶ。その瞬間、奴の体を大量の槍が貫いた。また時間が戻る。奴がくる。
奴は出来る限りの攻撃をする。私は躱し、奴を、、、これが繰り返されていく。
プログラムはループの影響をあまり受けないせいか、怪我は治っても疲労感は少なからず残っている。
大量の武器、罠、私自身の攻撃。ループが二桁行ったあたりでかなり悟られているようだ。
でも奴と私はお互い記憶を持ってるから、私にやられて終わる。奴は笑みを浮かべながら斬りつける。私が諦めたいよ。
***回目の戦いの途中、“彼女”に問いかけてみた。
「ねぇ、私らは前は友達だったんじゃないの?今ならまだやり直せる。だから武器を下ろしてよ。」
私は少しだけ、期待していたのかもしれない。まだ“彼女”の良心が生きている事に。
でも奴はナイフを突き刺そうとしたから、私はまた殺した。
もう期待なんてするもんか。ただこいつを諦めさせる事が重要なんだ。
【続く、、、】