「死にたいのに死ねないのと生きたいのに生きれないの、どっちが辛いんだろうね」赤司、黒子
《明日、少しつきあってくれないか》
と言われた僕は、指定された場所に向かっていた。
そこに行くと、車が止まっており、中で赤司君が手招きをしている。
「やあ。今日はすまないね。」
練習があったかもしれないのに。
車に乗り込むと、赤司くんはそう付け加えた。
「いえ、今日はオフだったので、大丈夫です。」
そう返すと、赤司くんは微笑む。
「どこに向かっているんですか?」
「母に会いに行くんだ」
...墓参り、という事か。
でも、何故、僕を呼んだのだろう。
一人で試行錯誤していると、いつの間にか着いたらしい。
車から降りると、赤司君は花を持っていた。
ダリア、かすみ草、カーネーション、パンジーゼラニウム。
すべて、花言葉に感謝の意が入っている。
墓の前に行き、花を供え、手を合わせる。
「ねえ。」
ふと赤司くんが口を開いた。
「死にたいのに死ねないのと、生きたいのに生きれないの、
どっちが辛いんだろうね。」
「え…?」
「僕は、生きたいのに生きれないほうが辛いと思うんだ。」
「あ…かしくん?何を…」
何を言っているんだ?
そう聞きたかったけど、
その時の赤司くんの頬に、
一粒の涙がつたったから、
きけなかった。
「さぁ。そろそろ帰ろうか」
あとから考えると、
あれは、赤司くんのお母さんに問いかけていたんだと思う。