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―――「アホか貴様!」
そう言われて、見上げた先に居たのは、――
白馬に乗って迎えに来た王子様じゃなくて、
くたばったアタシを仁王立ちして怒鳴りつける、クソチビ教官でした。
「外回り10周!」
『ッな――――――――!?』
―――ここは図書隊。
アタシ笠原郁はここの隊の一員。
世の中の無関心さが作り出した良化法―表現の自由を奪う法律―による、
良化委員会の検閲から本を守るため、良化隊と戦うことを仕事としている。
図書隊は、業務部と防衛部に分かれる。
アタシは防衛部の中の、エリートが集う特殊部隊、タスクフォースに、何故か選抜された。
今年入隊したばかりの新人で、同時に選抜されたのは恐ろしく優秀な同期。
そしてアタシが所属する班の班長は……堂上教官。アタシの直属の上司にあたる。
5歳年上で、身長は170cmのアタシより5cm程低いと見た。
『あのクソ教官、アタシのこと絶対目の敵にしてる! ちっさいくせにさぁ』
「まぁねー、あんたでかいからね。でもあたしにとっては丁度いいぐらいの身長差だわー」
この美人は、柴崎麻子。
業務部の同期で、寮部屋が一緒だ。
『今アタシのこと巻き込んだだろッ』
毒舌なのが玉にきずだが。
「あら被害妄想しな……あっ、堂上教官〜」
ギクリ。柴崎の言葉に反応して、
反射的に不自然な方向に首が曲がり痛みが走る。
いったぁ……!
早く通り過ぎろクソ教官――
「お前、言いたい放題だな」
ひえ――――――ッ!
柴崎に助けを求めるも、奴は後から追い付いた小牧教官と笑っている。
『えーっといやこれは、何かの人間違いじゃ』
「俺の耳がそんなにきかないといいたいのか」
『いやッ、滅相もないですッ』
「……俺も人間だ。訓練に影響が出ないとは保証できないな」
背筋が凍った。
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作者です。
書き始めてみましたが、ここで注意書きを。
二次創作ということで、原作に沿って書いていきますが、
少しずつ変えていく形になります。
基本設定は変わらないので原作とかぶる部分が多々あると思いますが悪しからず!
では!