【爆豪と小原姐さん】
昼休み、爆豪は自席で一人昼食を取っていた。ふと、自身の喉が渇いていることに気が付き一人で悪態をつきながら立ち上がろうとした時、ことんと机に何かが置かれた。
未開封のペットボトルのお茶、それに差し掛かる影。爆豪は何事かと僅かに眉を潜め視線をやればいつもと変わらないポーカーフェイスの小原いおりが立っていた。
「んだよ、イケメン女」
『……』
A組の姉貴、小原はイケメン女と呼ばれ、だが視線をあちこちに散らす。「てめぇのことに決まってんだろ爆乳女」と不機嫌さを明らかにさせる。
遠目から女子にはらはらしたような視線が向けられている事に気が付いた爆豪はちっと舌打ちを咬ます。
『……爆乳女は心外やな、爆豪』
「何しに来たんだよイケメン女」
『ほら』
すっと机を滑らせて差し出された先程のペットボトルに爆豪はまたも眉を寄せる。「お前、喉渇いたんやろ」と言われ、図星だったので黙る。
『飲んどけ』
「要らねえよイケメン女! 何企んでやがる!」
『別になんも。ただお前を一人のクラスメイトとして平等に見とるだけや。ほなな』
それだけ告げて小原は自席へと足を向けた。一方の爆豪は少し面を喰らって唖然としている。やがて眉間に皺を作り、「くそが」と悪態をつきながらペットボトルへと手を伸ばした。
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