それから色々と終え、合格通知が着て、後に学校へ向かう。
採寸以来に着る雄英の制服に身を包んでいるが、どうにも胸回りが苦しい。
仕方ないかと観念し、玄関から外に出てがちゃりと鍵を閉める。これをするたびこっちは今一人やねんなぁと実感する。別に寂しいとは思わない。
電気に会うかなとか考えて道を歩いていくが、あいつは見た目からして早い時間に登校はしなさそうなので諦めた。
ふと、前を歩く少女が目に入る。黒く長いポニーテールが特徴だ、なぜだかとても育ちが良さそう。横まで来て顔をちらりと見てみればきりっとしていて美人さんだ。
まあこっちにはそれほど関係もないので通り抜けようとしたとき、その美人ちゃんが何かに「きゃ、」とつまずきふらりとバランスを崩す。
それを見て放っておけるたちでもないのでばっと腕を差し出して支える。
固く目を瞑ったらしく、いつまで経っても衝撃が来ないのに不思議に思ったのか恐る恐る目を開く彼女を少し心配げに見つめる。やがてこっちに気が付いたのか少しこっちの顔を見て、それから慌てて離れ「ごめんなさい、ありがとうございます」と律儀に頭を下げてきた。
『……いや、こっちはええねん。大丈夫か? 余計なことしてすまん』
「いいえ、貴方のおかげで怪我をしなくてすみましたの、ありがとう」
『そか』
それから、流れでその彼女と共に雄英まで歩く。心なしか顔が赤いのは気のせいだ。軽く自己紹介をして、二人ともヒーロー科に受かった、いやこの彼女は、八百万 百(やおよろず もも)ちゃんは推薦入学らしかった。すげえ。
『個性、強力なん?』
「そうですわ。私の個性は“創造”ですもの」
『創造なぁ。スゴいなそれ』
「あなたは?」
『こっちは剣炎。手のひらとか、空中に発生させた炎から剣取り出すねん。もちろん炎単体でも使える』
「戦闘向きですわね」
『せやろ? いやぁ、同姓に個性の事話したんはじめてやわ』
そういうと百は目を見開いて「あら、いおり君は女の子でしたの?」と驚いている。いやいや。
『胸、胸!』
「……私、そちらを見ていませんでしたわ」
『……結構目につく思うんやけどなぁ。スカートも履いとるやん』
どうやら百も男と勘違いしていたようだ。
そのあと、クラスが一緒で、『A組』へとこっちらは足を向けた。
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