【入出トリップきょうだい】
目が覚めた。……ん? ちょとまてここどこ。えー、待って待ってちょっと待って。
どうやら机に突っ伏して眠っていたらしく、椅子から体を起こせば見知らぬ部屋。いや、この部屋のセンスは黒と赤と白でまとめられていて超あたし好みなんですが、ここはあたしの部屋じゃない。
ちょとまて嘘待て。目の前にはパソコンで、時間は夕方。えええ。
大学三回生21歳なあたし赤坂いおり、目が覚めたら見知らぬ部屋に居ました。
するとコンコンとドアがノックされる。反射で「入れよ」と返してしまったが仕方ない、やはり反射である。
ギィと扉を開けて入って来たのはアホ毛の目立つマスク男子、あれまてまて見たことあるよ君。
ナカノヒトゲノム実況中の主人公、入出アカツキ君じゃないか。
「姉さん、ゲームの実況動画は取り終わりましたか?」
『……終わったのか?』
「俺は知らないです」
やばい、ヒョコとドアの隙間から顔を出してアホ毛ぴょんぴょんさせるアカツキ可愛すぎる死ぬ。なにその好奇心旺盛な瞳は。
「まあ姉さんのナカノヒトゲノムは俺と同じくらいの進み具合ですし大体大丈夫ですよ。明日は姉さん大学ですか?」
『アカツキ、おかしなこと聞いても良いか?』
「? どうぞ?」
『あたし今幾つだっけ』
「21歳ですよ。ボケたんですか?」
『老人じゃねーわ。名前は?』
「入出イオリです、本当に大丈夫ですか?」
『大丈夫つってんの。アカツキはナカノヒトゲノムのエクストラステージ出たか?』
「はい、出ましたよ」
『ま じ か』
「本当にどうしたんですか?」
あぁ原作に乗っかったのか。
とりあえず可愛いアカツキの頭を撫で回したらくすぐったいですとかはにかんだ。可愛すぎか。
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