第三ステージは恋愛育成シュミレーション「ときめきエッグ☆ムラサキノウエ」、参加人数は自由だったので参加させていただいた。内容は大きな卵から生まれる少女を育成し、学園のアイドル源氏ヒカル君との恋を成就させること、これがクリア条件だ。
メンバーは恋愛ゲームの得意な逢河、育成ゲームの得意な伊奈葉ちゃん、他がアンヤ、アカツキだ。アンヤとは食事の際に肉を分け与えたので仲良くなった。そこ、餌付けとか言うなよ。ここでパカメラの事を知ったりカイコクがフラッとどっか行ったりしてしっちゃかめっちゃかだ。
「大きな卵です……本当にこの中から女の子が生まれるのでしょうか」
不謹慎かもしれないですけど、ちょっぴり楽しみです。そう言ったのは伊奈葉ヒミコちゃん、さっきの育成ゲームが得意な子だ。小さなお母さんになりつつあるこの子はとてもしっかりしている。がゆえに、甘やかされることに慣れていない臆病な中学二年生だ。なら、存分に甘やかして差し上げよう。この、あたしが!
あたしが後ろからスっと彼女の脇に手を差し入れ、ひょいと肩車する。彼女は驚いていたが、『甘えておけよ』と微笑んで見せる。
『不謹慎なんてどーでも良いのさ、死なずに楽しけりやいいんだ。驚きも必要だ』
「俺もです。無事に孵してあげましょう」
アカツキとあたしがこう言えば肩の上で懸命に、コクコクと頷くヒミコちゃんに癒される。可愛すぎか。
「だーもう! んなもんテキトーでいいじゃねーか! 豆女とアイマスク! テメーら来い! とっとと終わらすぞ!」
「おーアンヤ君がやる気です」
『アっくんは素直だな』
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ゲーム用に誂えられた小屋でいざ卵を孵そうとすれば、アカツキがぷしゃん! うぃー、とくしゃみをした。
「それでは取説を……ええと。「ときめきエッグ」は育成者の嗜好を汲み、少女の容姿や性格を決めます。孵化は温め始めてからおよそ一時間」
「早いですね、温めながらどんな子にしたいかお願いすればいいんですかね」
「つかなんで卵生? つくづくアイツの趣味きめえ」
『おっとマキノくん、危ないから立ったまま寝んな。ほら、おんぶしてやるから』
「……ん」
「おいイオリさん、あんた話聞いてんのか」
『イオリで良いよもう』
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