『 ハロハワユ 』
「 ハロ 」
窓を開けて小さくつぶやいた。 誰もいない部屋で1人。
朝が来た。 土砂降りの朝が。 窓から見える景色は、雨が降り続いてる。
雨が落ちる音がうっとうしいくらい耳に入ってくる。 こんな時でも小鳥は元気。 ピピピ、と鳴いている。
いつも雨だとやる気が出ないな…… だけど、今日も仕事がある。 だから、行かなきゃ。 でも行く力が無い。
私のネジを誰か巻いて_______
今日も今日とて仕事に行くために、支度をする。
まずは朝ご飯を食べよう。 簡単な食パンとお茶で済ます。
ふと目についたテレビを付けると、ニュースがやっていた。 そこには、昔のアニメのことを 大きく話すアナウンサーがいた。
昔のアニメにそんなのいたっけ?
食パンをゴクリと飲み込んでから、テレビを見てみる。 懐かしいな…… 内容をよく聞くと、私が昔見てたアニメだ。 そこに映っているのは、昔アニメで大人気だったアニメキャラ。
「 ___羨ましいな、みんなに愛されて 」
なにを思ったのか、私は無意識にこんなことを口に出していた。 そして、瞳から溢れ落ちる涙____
こんな馬鹿なこと言ってないで、支度をしなくちゃ……
私はそう思い、食パンを全て口に入れる。 ……危ない、喉に詰まりそうになった。
そのあと、私は涙の跡を隠そうとして、自分の部屋の鏡を見た。
「 ……まぁいっか 」
もう口癖になったこの言葉。 鏡を見ると、まだ涙の跡が残っていた。 ボサボサの髪型、光を失った眠そうな目、涙の跡がある頬…… 自分の顔が、とても酷く見えてくる。
……まぁいっか、じゃない。 また、”あの人”たちにバカにされる。
ふと、昨日の言葉が頭を過る。
「 もう君には全然 期待してないから 」
そりゃまぁ私だって、自分に期待などしてないけれど……
あれは一体どういうつもりですか?
人の気持ちも考えずに、どうして厳しいことばかり言うの?
貴方たちだって、1回くらいは失敗だってするはずなのに…… 私が自分を諦めたことを知っているのだろうか。
「 別に、私はなんともないのにっ……!! 」
喉元ま出かかった言葉。 口を付いて出たのは嘘。
言いたいことを言えずに、自分に嘘ばっかりな日々を送っていくんだ……
分かってた。 これからも、この日々はずっと変わらないことを。
そして、いつかは仕事が首になるんだ…… もう、自分の未来が見えてしまっている。
私に希望と光なんて、もう無い。 あるのは嘘と絶望だけ。
___こうして今日も、私は貴重な言葉を浪費して生きてゆく。