第1話
〜吉良の部屋〜
「そうですか、それで輝夜の様子はどうですか?グラン」
「輝夜姫様なら、今プロミネンスの練習を見ています」
グランはそう言うと、吉良はそうですかと言いグランを見た。
「そろそろ輝夜にも本格的に動いて貰いましょうかね」
〜輝夜の部屋〜
「輝夜姫、失礼します」
グランはそう言い、輝夜の部屋に入って行った。
輝夜は瞳の輝きを失った目で、入って来たグランを見て、ニコリと儚い笑みを浮かべた。
「どうかした?グラン君」
「いえ、そろそろチームを動かした方が良いと、父さんが」
「・・・父上が?そうね、じゃあ他の子達も呼んできて。」
輝夜はそう言って、メンバー表を書いた紙をグランに手渡した。
グランはその紙を素直に受け取り、部屋を後にした。
輝夜はグランの後姿を見て、また窓に目を向けた。
「嬉しいって・・・何?」
そう呟いたが、その呟きは闇夜に吸い込まれていった。
そして、数十分後グランは他の子を引き連れて輝夜の部屋に行ったが、一緒に居た者達も同様に目を見開いた。
「輝夜姫が居ないぞ!」
「この部屋から出てない筈だぞ!」
〜雷門キャラバン(in北海道)〜
「おい、円堂。人が立ってるぞ」
風丸はふと窓に向けた時、人が立っているのを目にした。
円堂は風丸に言われ、窓に目を向けると、そこには確かに吹雪の中、少女が一人立っていたのだ。
それには運転をしていた古株も気が付いたのかキャラバンは、その少女の前で止まった。
円堂は席から立ち上がり、少女の所に行った。
「おい、大丈夫か?」
「?」
「あぁ、まず名前からだったな!俺は円堂守、君は?」
「・・・輝夜。月矢輝夜」
輝夜はそう言って、儚げにまた笑った。
円堂は寒くないのか?と聞くが、輝夜は寒いとは何だ?と不思議そうな顔をして聞いた。
「え?えっと〜〜〜「輝夜姫!」え?」
「あ、ウルビダさん。」
「輝夜姫!どうしたんですか?!急に外に出るなんて」
「え?ここ・・・外?」
ウルビダは輝夜に自分が来ていたジャージを羽織らせると、円堂を一睨みした。
輝夜は円堂をチラッと見て、ウルビダに手を引かれエイリア学園に帰って行った。
〜エイリア学園〜
「輝夜姫!何処に居たのですか?俺達心配してたんですよ!」
バーンは帰ってきた輝夜を見て、安堵の溜息が出た。
輝夜は不思議そうな顔をしながら、ごめんねと言った。
「輝夜姫、外には出てはならないと父さんからあれ程言われた筈ですが・・・」
「ガゼル君、ごめんね。外に出て見たくて・・・。ねえ、ヒート君」
「は・・・はい!」
「円堂守君って・・・誰?」
続く