隣の席は髪の毛の色が赤と白の半分で、左顔面の火傷が酷い奴だった。名前は轟焦凍と言うらしい。なんでも親があのNo,2ヒーローのエンデヴァーだと言う。だが俺は正直親などどうでもいい。
親にいい印象は抱いていない、抱けない。家族でも信頼しているのは爺さんぐらいだ。
居合いの家柄とかそう言うのを気にしてか、俺は幼い頃から一人称を『俺』、行動、言動をほぼ男へと変革させた、さすがに体の成長は普通どころか出るとこが人より出てしまったが仕方ない。それぐらいやらなきゃ自我を保ってられないほどキツい訓練や修練を父に受けた。別に感謝していないわけでもないが、ただそれが俺の為を思ったものではなく、家柄のためだと言うことに苛々した。
そんな事を内心思いながら隣に『よろしく』と声を掛ける。轟は目を見開き、驚いたように表情を変化させ、「……よろしく」としばらく間が空いたあとに告げた。
まあ、それからだ。俺と轟は隣同士であったからか仲良くなった。今や中学三年になっても、だ。
自分の身の上を話し合えるほどに、気を許しあっていた。轟の火傷の出来事、半冷半燃の左の炎は使わずトップヒーローになってエンデヴァーに「俺はお前の玩具じゃない」と言うと言うこと、お母さんのこと。家庭環境は複雑だが、俺はそれをすんなりと受け入れた。それは彼が俺の右目を受け入れてくれた事が大きいだろう。
現在では名前で呼び合う程だ。
『焦凍、お前高校どこ行くんだよ』
「俺は雄英、伊織はどうなんだ」
『俺決まってねぇ。から焦凍とおんなじとこ行くわ。その方が気も楽』
「……そうか」
微かに笑う轟に笑い返して『勉強頑張んねえとな』と頭の後ろで腕を組む。「俺は推薦受ける」と轟が言い『推薦なー』と俺には向いてねえから一般を受けると回答を出す。
『もうちょっとだったか、試験』
「まだ期間はある。……願書出せよ、忘れてねぇよな」
『わかってる、とりあえず実技は置いといて、筆記あるから勉強するかー』
「……図書室か図書館か」
『そうだな、こっから近えし図書室行くか』
「おう」
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