プロローグ・・・序章
富士の奥には大きな建物がある。
その中に行けば、宇宙人のフリをした中学生の子供達が沢山居る。
今日はプロミネンス対ガイアとの試合が始まっていた。
「流星ブレード!!」
普通ならばこのシュートは入って居た。
そう・・・普通ならば・・・ね?でも、その流星と化したボールは誰かに蹴り飛ばされ、天井にぶち当たる。
グラウンドに居た者、その試合を観戦していた者は目を見開き、蹴り飛ばした人物を見た。
そこには薄茶色でおとぎ話に出て来るアリスみたいな髪形をしていて、顔は仮面が張り付けられていた。
「侵入者か・・・、警備ロボットはどうしたんだよ!?」
「あぁ・・・そのロボットなら、蜂の巣にしてあげました」
その子が指差した場所には、恐らくロボットであろう残骸がゴロゴロと転がっていた。
それには全員が鳥肌が立つ。
グランは仮面を付けた少女に目を向けたその時、その少女はグランの目の前に居た。
ゴールとグランが居た距離は遠く、数秒目を離しただけで目の前にはいない。
「ねえ?蜂の巣にしちゃってもいいかな?」
「!?」
少女の狂気の満ちた言葉と声にグランは息を飲み、数歩後ろに下がる。
その時だ。
「おや、もう来ていたんですね」
「「父さん!!」」
吉良の姿を見つけた両チームは無意識に体を硬直させた。
「貴方が・・・彼に派遣された女の子ですね?」
「うん・・・マスターの命令で、来た」
少女の先程の狂気は何処へやらと言う態度で少女は吉良と会話をしていた。
話が終わったのか少女は大きな欠伸をして、グランとバーンをジロジロとまるで観察物みたいに見ていた。
それに二人も嫌な気分になり、うんざりした様な顔をしながら吉良にこの子は誰だと問うた。
「その子は私の計画に賛同している方から1か月だけ派遣された女の子ですよ、確か名前は・・・」
「ルシファー・・・堕天の王」
少女はぽつりと呟きながら、ずれてしまった仮面を掛け直していた。
「そうですか、なら、ルシファーは1ヶ月よろしくお願いしますね」
「うん、それが・・・マスターの願いなら」
吉良が去った後、仮面をつけた少女ルシファーは一つ礼をした。
容姿から見れば人形みたいな手足をしていた。
「ルシファーだっけ?あんまり観察物みたいに見るのやめてくれる?父さんの前だったから、怒鳴らなかったけど・・・「だって、マスターが人を見るときはそうしろって」そのマスターって誰?」
グランの問いにルシファー喋りたくなさそうに大きな欠伸をした。
そろそろ我慢の限界だったバーンは、グランからボールを奪い取り、ルシファーに向かってボールを蹴った。
「バーン!いきなりは・・・!?」
「嘘だろ・・・」
「痛い・・・ルシファーは人形なんだからこんな事しないでよ」
ルシファーは片手でボールを受けとめながらバーンに向かって蹴り飛ばした。
バーンは反応は遅れたもののボールを受け止めたが、ビリビリと来る痛みに片足が地面に着く。
「「「バーン様!!!」」」
「それじゃあ、死後よろしくね」
ルシファーはグラウンドを後にした時、その仮面を外した。
「それじゃあね、“ヒロト兄さん”、“晴矢兄さん”」
プロローグ終了