人間兵器と新撰組【鋼×gntm】

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3:ぜんざい◆A.:2016/09/21(水) 23:46 ID:AMg




 某日新撰組屯所前にて、それはうつ伏せに倒れていた。黒い短髪の毛先は外に跳ねており、その毛先からは赤い液体が滴る、雰囲気に似合わないアイマスクも赤い。彼女の着ている青い軍服は半分程が赤い血液で覆われていた。それらに削ぐわぬ血液一滴も着いていない、手の甲に不思議な陣のある真っ白な両手の軍手袋に填まった手には、刀身の長い日本刀が握られている。
 その近くには黒縁の眼鏡が転がっており、彼女の物だろうと推測できた。
 土方は見回り帰りに発見したその惨状に目を見開き、葺かしていた煙草を放り投げ、「おい! 大丈夫か!? おい!」と声を掛けた。上体を抱えて脈を見れば、生きていることは確認されたが意識がない。
 土方の女を呼び掛ける声を聞き付けた非番の奴等が「副長!?」「どうしたんですか!?」と声を掛けてくる、それを一瞥し、この女を救護室へ連れていくべく近藤を呼ぶように指示し、そのまま女を抱き抱えて走り出した。
 途中、女が「ってぇ……」と掠れた声を発したのを聞き逃さなかった土方はやはり怪我をしているのだと察する。
 目的地についたときには女は再び意識を失っていた。



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いおりside


 ふと体の節々の痛みにより目を覚ました。辺りを見回せば純和風と言った室内で、畳の上に敷かれた布団に横になっていたのだと理解する。
 うむ、どういうことだ。傍らに置いてあった眼鏡を掛け、自身の状態を確認する。俺は確かロイと共にアメストリス最後の戦争を行っていた筈だ。これから軍事国家だったアメストリスを平和に変える最後の一歩を踏み出したはず。
 ハッとしてこんな所に居る場合じゃねえと眼鏡と同じく傍らにおいてある愛刀を手に取り、立ち上がった時だった。
 ずぎぃっ、そんな擬音が似合いそうな痛みが腹部と左腕に走る。中途半端に立ち上がったのでそのまま大きな音を立てて前のめりに倒れてしまった。
 そこで気付く。俺は錬成陣の掛かれた手袋をしていないばかりか、軍服ではなく男物の着物を着ていたのだ。
 よくよく体を見てみれば体中包帯だらけ、なるほど分からん。

 先程の大きな音を聞き付けてか障子の襖がすすすと開く。思わず身構えてしまい、素早く態勢を立て直し、刀の柄に手を掛けた。
 襖の向こうに居たのは……おいおい見覚えあるぞコラ。ハガレンより前世で漫画読んだぞコラ。
 そう、そこに居たのは新撰組局長の近藤と、副長の土方だった。構えている俺を見たのか目を見張る土方を一瞥し、かちゃりと刀を脇に置く。

 その行動を見た近藤が聞いてきた。



「なぜ刀を置いたんだね?」
『お前達の目に敵意が無え、殺気も無え。だから殺す理由は無え。あんたの後ろの瞳孔開いてる奴の探るような視線がなけりゃ俺はもう少し警戒を溶ける』



 ちら、と少し土方を見て、近藤に視線を戻す。近藤は「やめなさいトシ!」と母さながらに注意する。ふと土方の視線が弱まった所で『ここどこだ』とくあ、と欠伸しながら俺は聞いた。




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