俺の質問に近藤は「新撰組屯所内だ」と教えられ、ふーんと納得する。その後、土方にお前は何者だと聞かれ、そう言えば名乗ってなかったと気が付いた。
『いや悪い、忘れてた。俺は小原 いおり、出身は日本、現在アメストリス軍所属、地位は准将兼マスタング少将補佐、そして【緋炎の錬金術師】だ。覚えとけ、多分損はねえ』
布団の中で上体を起こしながら右手で敬礼をする。その光景に近藤ら二人は唖然、そして俺はそれを見てやべっ、いつもの癖で、と隈の酷い瞳を擦ってあくびをした。
当の二人は俺が准将だと言うことに驚きつつ、アメストリスは聞いたことねえとか、錬金術師? だとか呟いている。
俺はそれに対して『気にすんなよ』と声を掛けた。
『気にしたら敗けだ。多分俺の世界とこの世界違えから』
「……は? お前頭大丈夫か? え?」
『消しズミにすんぞゴリラ』
ゴリラ!? と驚く近藤を放り、土方がその根拠は? と尋ねてきた。根拠、根拠なー。
『根拠はある。お前らは錬金術師どころか錬金術も知らねえしアメストリスも知らねー。第一俺、戦争で勝つために人間兵器として最後の華咲かそうとしてたんだぜ』
確か俺が特大の焔を食らわせたところに背後から撃たれて腹貫通したっけな。そこまでしか覚えてねーわ。
とすらすら言えば「た、大変だったんだな」とか「人間兵器……?」と言う返答。
『人間兵器ってのはな、錬金術で国家資格取って国家錬金術師に言われる蔑称だ。研究費とか少佐相当官の権力とか与えられる代わりに軍に呼び出されりゃ戦争に参加とか言うこと聞かねえと駄目だから、軍の狗とか呼ばれたり。錬金術よ大衆のためにあれとか言うがんなもんねーわ』
やれやれと言ったように二人に溜め息をつけばちょっと目が引いてた。酷い。
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