驚きだぜ! な所ですよ(笑)
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次々に起き上がるフェアリーテイルのメンバーにその場にいた他の大人が固まる。そして皆一様に誰だこいつらと必死に思考を回していた。
ここは雄英高校ヒーロー科職員室中央、つまり周囲は全員ヒーローである。
「えっ、ここどこ!?」
「くそっ、やはりもう少し注意していれば!」
「あんまり気にすんじゃねーぞエルザ」
「グレイ様服!」
「いつの間に!」
「ねえだからここはどこなのよ!?」
「知るか! ギルドじゃねーのは分かる!」
「見りゃ分かるわ!!!」
目の前で怒鳴り合いを始めたルーシィとナツに教師陣は目を見開く他ない。そこでなぜかいきなり「やんのかコルァ」「上等だテメェ」と取っ組み合いを始めたナツとグレイ。どういう経緯でそうなったのよ、と呆れるルーシィ。
「おめぇは毎回毎回うっとーしいんだよ露出魔野郎!」
「いちいちつっかかって来るんじゃねークソ炎!」
ついには魔法を発動させて殴り合いをし出す二人はいつぞやのハデス編より激しい戦いを繰り広げている。ルーシィはその力を本線で出してほしかったわと溜め息を吐く。そこで、ぼっさぼさの髪に幾重もの布がマフラーのように連なる小汚ない男がルーシィに声を掛けた。エルザは仲良きことは良いことだと微笑んでいるし、ジュビアはグレイに声援を送っていたので、この中では比較的常識人だと自負するルーシィは声を掛けてきたとこに納得する。ルーシィに声を掛けた彼は相澤消太、日々合理性を追い求める人物であり、ルーシィに声を掛けた理由はあの二人の騒動に入っていくことになんのメリットもないと踏み、近くにいたルーシィに声を掛けただけだった。恐らく近くにいれば誰でもよかったと推測される。
「ねえちょっと」
「はい、なんですか?」
「君達の行動は合理性に欠く、話も聞きたいからアレを止めてくれ」
ピッ、と指差した相澤の指は現在進行形で職員室を破壊している炎と氷の男に苛立ちを感じていたようだ。悟ったルーシィはこの世の終わりのような顔をして、とぼとぼと二人の近くによる。
「ね、ねえあんたたち、もうそろそろやめにしてくれない?」
「「うるせえ!!!」」
「ぎゃん!!!」
意を決して二人の仲裁に入ったルーシィだが、二人の拳を顔面に受け、呆気なく悲鳴を挙げながら吹っ飛んだ。ドゴッ、と壁にぶつかったルーシィを見たヒーロー教師たちは唖然と口を開き、その中でやっと動き出したミッドナイトがルーシィに駆け寄る。
「だ、大丈夫貴方!」
だがしかし、ルーシィは鼻血を隠すことなく垂らしながらむくりと起き上がると、ミッドナイトの声掛けが聞こえていなかったのか「あの男共はあああ!!」と怒鳴り散らしながら腰に下がる鍵を取り出して叫ぶ。そしてミッドナイトはルーシィも彼らと同類かと密かに感じとった。
「開け! 獅子宮の扉、レオ!」
リンゴーン、と言う音共にいきなり現れた猫耳の生えたサングラスの男に教師たちは再び目を剥くこととなってしまった。
「お呼びかな!」
「あいつら、やっちゃって!」
その声と共に駆け出すレオ、もうすでに職員室は戦線崩壊、ひどい有り様である。相澤は声を掛ける人物を間違えたと頭を抱えたくなった。
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