第1話謎の少女と少年〜緑川視点〜
真夏日に近い今日この頃、俺『緑川リュウジ』は友達の風丸と一緒に遊びに行っていた。
今日もまた黒い曇りが多い、此処最近そんな曇りの日が続いている。
「今日もだな・・・」
「そうだね〜、いつまで続くんだが」
その黒い曇りが現れたのは最近の事、今日でもう1週間は経った。
それに学校に行っては黒い曇りが出来てから気分が悪く鳴った子も増えて何処からも学級閉鎖になる位大変な事態になっている。
俺と風丸のクラスももうすぐで学級閉鎖になるのではと言う程、休んでいる子が沢山居る。
俺が大きな溜息を吐き、空を見上げた時だった。
「え?」
俺が見たのは、屋上から屋上を飛び移って行く少女と少年の姿あった。
「どうした?緑川」
「え?何もないよ!今何時だろ?」
「んっとな・・・やべ!俺今日はもう帰るわ!じゃあな!」
風丸が慌てる時間か・・・、俺はまた空に目を向けたその時何かが俺の目の前に落ちて来た。
凄い暴風に俺は顔を覆い隠した、爆風が治まって顔を上げるとそこには刀を両手に持った男の子と厄払い棒を持った女の子が立っていた。
え?此処日本だよね?刀なんで持ってんの?何で空から来たの?俺が混乱していると、男の子が俺に気が付いた。
「姉さん・・・人間に俺達が見えてる」
「え?冗談・・・え!?嘘!?」
男の子の言葉に女の子は俺を見てびっくりした様子だ、まるで目から鱗。
俺は男の子と女の子の間から見える物を目を凝らしながら見た、そこには血塗れの物体がアスファルトに叩き付けられていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
「え?あぁ〜、これか。大丈夫、一種の瘴気にまみれた妖怪だから」
妖怪・・・?いやいやそんなの迷信でしょ?俺がそう納得しようとした時、男の子は俺の後ろを指差した。
「え?」
何と、通り過ぎる人は女の子にも男の子にも血塗れの物体にも目もくれず歩いていた。
「分かった?この血塗れの物は妖怪だって、まあ、俺達も妖怪だけど。さて、封印させていただくよ」
「君・・・退いてた方が良いよ」
「あ、うん」
俺は男の子に言わるがままに少し離れていると、女の子はブツブツと何か言っていた。
「五行の上に汝を封印する、“五行封印”!!」
『ギョェェェェェ!!』
血塗れの物体は醜い悲痛な叫び声をあげて消えて行った、俺はポカーンとしていると男の子と女の子は誰も通れないような細い路地に消えて行った、俺も急いでその子達を後を追う。
「狭ッ!」
うん、見ての通り狭い。
やっと路地から抜けたと思ったらそこには古い古い一軒家がポツーンと立っていた。
俺は傍まで寄ってくると家に掲げられている看板が目に留まる。
そこに書かれていたのは・・・『妖怪相談屋』と書かれた看板だった。
あの女の子と男の子に出会った時、俺の運命の歯車は変わって行く。
そう・・・まさか、『妖怪退治をやれ』なんて言われるとはこの時の俺には分からなかった。
続く