第2話意味深な言葉〜緑川視点〜
俺は学校の帰り道に昨日通った道を歩いていた、ふと昨日あった路地がまた目に入った。
そう言えば・・・昨日の子達、何処行ったんだろう?俺は路地をじーっと見ながら通ろうか通らないか考えたが、興味本位とは恐ろしい物だ。
俺は興味本位で路地に通る事にした。
「やっぱ狭!!よく、昨日の子達も此処に通れたな」
俺は文句を零しながら路地を出ると、やっぱり古い古い一軒家がポツーンと立っていた。
目の前に来れば、妖怪相談屋と書かれている。
入ればいいのかな?俺はドアに手を掛けると、青髪の女の子が出て来た。
「貴様・・・何者だ?」
「え?あ、いや・・・、緑川リュウジです」
威圧感が凄い・・・。
「ウルビダ〜、どうしたの?」
「喜怒か、人間が来た。お前が言っていた妖怪が見える子供か?」
喜怒?俺が首を傾げていると、青髪の女の子の後ろから見た事ある子が出て来た。
そう、昨日の巫女服の女の子だ。
「あぁ、そうそう!この子だよ、この子!」
「そうか、すまなかった。さあ、入れ」
青髪の女の子に言われ、俺はオズオズと一軒家の中に入って行く。
家の中に入れば、外見とは違い落ち着き感がある家の中だった、俺が案内されたのはいかにも相談室っぽい所だった。
俺はソファーに座ると、喜怒と言われた女の子がお茶を出しながら俺に話し掛けて来た。
「昨日は驚かせちゃったね。俺の名前は喜怒、此処妖怪退治屋の店長で君たち人間の怒りと喜びを操る感情妖怪さ。んで、昨日刀を持ってた子が俺の弟の哀楽」
「あ、うん」
「そして、昨日俺が封印したのは妖怪。迷信でもなんでもないよ。で、君に頼みがあるんだけど・・・」
「何?」
「君はいつからこの場所知ってた?」
「それは昨日知ったばかり・・・」
俺がそう言うと、喜怒さんはやっぱりと小さく呟いて俺をじーっと見た。
俺はビクッとしながら喜怒さんを見る。
「君って、この相談屋で働かない!」
「え”!」
無理です、俺は一言そう言いたいが喜怒さんは入れる気満々だった。
「え・・・でも、俺・・・中学生ですし・・・」
「大丈夫だって!ねえ!!「姉さん・・・嫌がってる」あ、哀楽」
喜怒さんの目線の先には背中に二本の刀を背負っている男の子が居た。
「ごめん、僕の姉さんが・・・」
「あ、いえ」
「姉さん・・・玲名、呼んでた」
哀楽さんがそう言うと、喜怒さんは忘れてたと言う様な顔で急いで何処かへ行ってしまった。
「さあ、早く帰りなよ。姉さんには僕から言っておく」
「あ、ありがとうございます」
「後、何か異変があれば此処に来てね。特に・・・周りが最近病に降りかかって居たら・・・」
哀楽さんは最後意味深な言葉を言いながら見送ってくれた。
俺は不思議に思った、だって、哀楽さんはまるで何かを知ってるような言い方だった。
俺は路地裏を抜ければ、空はもう真っ黒だった。
早く帰ろう・・・どうせ、父さんも母さんも仕事だし・・・。
〜妖怪相談屋(作者視点)〜
「あれ?あの子は?」
喜怒はキョロキョロと緑川の姿を探すが、何処にも居ない。
「帰したよ、もう空は暗かったし」
「そう・・・それにしても、この町の瘴気は他の町と違って異常だね」
「やっぱり・・・、ヒロトも言っていたよ」
哀楽はそう言うと、自分の刀の手入れに移った。
喜怒も未だに空を黒く覆い隠している雲を睨みつけていた。
続く