私は、家につくと、お礼を言ったんだ
それで、またぶつかってしまったこと
を申し訳なく思って、謝ろうと向き
合ったときにあっ!って思ったんだ
だって、若武の学校の制服だったん
だもの。一瞬硬直してしまった私を
気遣うように男の子が私の顔を
のぞきこんだときにやっと
われにかえったんだ。そんな子どこにでもいるよなぁって気がしてきたん
だもの。
だから、あわてて頭を下げたんだ
「今日は、ありがとうございました!
ぶつかってしまってごめんなさい
あと、送ってくれてありがとう。
ご家族が心配されてると思うし、
帰って良いですよ!」
って早口で言ったんだ。そしたら、
その子がね、キレイな目に一瞬苦しげ
な感じを宿したんだ。せして、
「俺が好きでやったことだからさ。
気にしないでよ。それと、
俺、桜川快っていう。
んじゃ、また会えたらなって」
って言って帰ってしまったんだ
どこか苦しげにね