ジバニャン劉備は振り向いた。そこには恐ろしげな顔つきをしたライオン妖怪がいた。だがとても澄んだ目をしていた。
「ニャンでしょうか……もしかしてわらじを買ってくれるニャンか?」
するとそのライオン妖怪は急に
「メラッメラメラッ!(お前、その立て札を見て何も思わないのか!)」
と怒鳴った。
「……何も思わないことなんてないニャン。オレっちだって軍勢さえあれば黄巾の賊だって打ちのめせるはず……なのにその力がないから実にふがいない自分に泣いてたニャン」
ジバニャン劉備は思ったことを正直に話した。
「メラ、メラメラメラ(そこまでへっぴり腰ではないんだな)」
どうやらさっきまでの気持ちは治まったようだ。
「メラメラメラメラメラメラッメラメラッ!(そんな気持ちがあるなら旗上げをしようではないか。その分の準備もしてあるぞ)」
その言葉を聞いてジバニャン劉備はとても驚いた。ライオン妖怪は笑いながら
「メラメラ……メラッ。メラメーラメラメラッメラメラ(驚くことはないさ。ここ最近旗揚げする同士を探しておってな。何度か貴公の姿を見かけて今日声をかけてみたのだ。)」
「そうだったニャンね」
ライオン妖怪の笑顔にひかれ、ついジバニャン劉備はうなずいた。
〜続く〜