家に帰って夜ご飯を食べても、お風呂に入っても、何をしていてもあの謎の生物が頭から離れない。
「はぁー…。」
なんでだろう。ただのゆるキャラなのに。
「よっ!モモ」
「あっ!矢神君‼」
矢神君に会えてホッとする。いつも通りベランダの柵にほおづえをついている。ん…あっ!矢神君今日、全然喋ってなかった。もしかして私と同じようなこと考えているのかも!私は思い切って聞いてみた。
「今日のゆるキャラって本当に…」
「あの黄色いデカブツはモモが桃花で作ったものか?」
私が言う前に矢神君は言った。えっ!違う違う違う。私はぶんぶん首を振る。
「そうか…。アレは絶対に着ぐるみなんかじゃない。」
うん、確かに。私も思った。でも、証拠がないんだよね…。
「私の事ですか?」
うげっ‼‼あわわわわわわわ。思わず変な声を出してしまった。だってだって!あの謎の生物が、わ、私の窓の前に浮いてるんだもん‼‼‼‼
「おっと、失礼。これはこれは。」
謎物は(謎の生物の事ねっ!)丁寧にお辞儀をした。
「私の名前は殺せんせーです。好きな事は授業です。それであなたは?」
「へっ?」
「あなたですよ!直毘モモさん。」
えっ?今私の名前…。
「知ってるじゃないか。聞く意味ないだろ。ていうか…なんで知ってるんだよ。」
矢神君がむすっとした顔で殺せんせー?に聞く。
「今、直毘さんの部屋をマッハで見て回りました。あっ、吹き飛んだ物はちゃんとマッハで元に戻しましたので。」
えっ‼私の部屋を?振り返って自分の部屋を見る。いつもと変わりない。でも、少し綺麗…?
「今日は失礼しますね。君達も早く寝て3,4年後の受験勉強に備えて下さい…。ヌルフフフフ。」
謎物がそう言って優雅に去っていった瞬間、私は眠りに落ちた。
続く。