年の差キセキ赤
キセキと桃井→27歳
赤司征華→19歳
『うちの大学に、漫画に出てきそうなお嬢様がいるらしい』
なんて初めて耳にしたのは授業中だった。 必死に勉強して合格した難関大学に入学して1ヶ月。友達もできて、大学生活にも慣れ始めてきた1番楽しい時だ。
「お嬢様なあ…まぁそりゃ結構いるだろうな、うちの大学なら」
「いやいやそれがただのお嬢様じゃねえんだって!名家の1人娘で、顔も可愛いし小柄で細くて、身振りそぶりもほんとお嬢様〜って感じでさ!」
「名家?そりゃ確かにすげーな」
「その名も!赤司様!!」
「…赤司様?」
うちの大学は、有名かつ難関ということもあり家が金持ちの奴はわさわさいる。もちろんオレのように普通の家庭の奴もいるが。
そのためお嬢様が在学してることくらい何も珍しくないが、その友達が言うにはもうレベルが違うらしい。
「とにかく可愛いんだって、お前も見ればすぐにわかるぜ、“赤司様”」
「へー、そんなに可愛いなら見てみてぇけど」
「今度新歓あんじゃん、それに赤司様を呼ぼうって密かに作戦たててる男子共が既にいるらしいぞ」
「マジで?いやでも誘っても来ねえだろ、お嬢様がそのへんの居酒屋とか…」
「だよなー。でも来てくれたらなあ、なんて考えちゃうよな〜…」
赤司様が来たところでお前と仲良くしてくれるかはわかんねえぞと一蹴すると、友達はまあなと苦笑した。
「名家の1人娘なんてさあ、別世界だろ。俺らとは違うって」
「わーかってるって。ちょっと夢見ただけだろ〜」
(…つーか、そんなにすごいのか?“赤司様”って……)
その時はまだ好奇心でしかなかったし、“下心”…なんてのは、少なくとも俺にはなかった。
…ないはずだったのだ。