「ナオミちゃん!」
今日は月に一度の定例会議。会議、といってもお互いの近況や怪しい奴がいないか、といった報告会のようなものだ。
「聞いてよナオミちゃん!」
そして、アタシを呼ぶこの女。SWORDのO“鬼邪高校”の頭である村山よしき。
コイツは鬼邪高の奴等の拳を100発耐えたあと、逆にそいつらを殴ったらしい。
「なんだよ」
「あのさあ……えっと、なんだっけ」
「忘れたのかよ」
普段のコイツは知らないけど、今アタシが知る限りではそんなことができる奴には見えない
「あ、そうだ思い出した!轟がさ、おれのこと歳下みてえって…おれ歳上なのにさー」
「轟ってあのメガネか…歳上なら歳上らしく大人しくしてろよ。腹出しすぎだろ」
「えーー、それ古屋にも言われたんだけど。つーかコブラちゃんたちは?」
「保護者も大変だな。コブラはヤマトと買い出し行かせた。あとの奴等はまだ来てねえ」
「あ、おれが一番に来たのか」
今日はSWORDの頭はもちろん、雨宮兄弟と琥珀さんも来る。
「アンタもっと女らしくしろよ。そしたら歳上に見られるんじゃねぇの?」
「女らしくー?」
カウンター席に座る村山に目を落とすと、頭には青のバンダナを付けていて、学ランの下に着ている青いシャツは胸ギリギリまで下からボタンが開いて腹が丸見えだ。
「まあバンダナはいいとして…問題は服だな。なんだそのシャツ、開けすぎだろ」
「でも下着つけてるよ?」
「そういう問題じゃねぇよ」
つーかアンタの女らしさの基準は下着かよ…
「スカートとか履かねぇの?」
「スカート…持ってない、かも」
ダメだコイツ…アタシはそう思って、村山の手を引いて店の奥に突っ込んだ。
「え、なに?なにされんの?」
「黙ってろアホ村。」
たしかここにアタシの予備の服があったはず…
「ほら、これ着てみろ」
渡したのは白のTシャツと黒の短いスカート。地味だけど今のコイツの服よりは女らしいだろ
「これって…ナオミちゃんの服?」
「アタシ以外に誰がいんだよ」
「…チハルちゃん?」
アイツそんなイメージ持たれてんだな。かわいそうに
「いいから着てみろって」
黙ってアタシに従う村山。着替えたあとは、癖のある髪の毛をブラシでといてやる。
「いだだだ!いたっ、ナオミちゃんいたいっ」
「鬼邪高の頭がこんくらいで痛がってんじゃねぇよ。」
バンダナは…このままでいいか。バンダナまで外したら誰か分かんねぇからな。
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「…うん、いいじゃん」
いつもよりキレイなくせ毛、白いTシャツはコイツの豊満な胸が分かる。そして、そこら辺の女よりキレイなスラッとした足がスカートから伸びている。
「こんなに足出すの…恥ずかしいんだけど」
「はあ!?いつもバカみてぇに腹出してるくせに恥ずかしがってんじゃねーよ!」
すると向こうからヤマトがアタシを呼ぶ声が聞こえた。他の奴等も来たみたいだ。
「行くぞ、村山」
「む、むり!やだ!恥ずかしい!」
嫌がる村山を無理やり引っ張って、店に戻る。
村山にベタ惚れなアイツらの反応が楽しみだ