私のほんの少し前を行く彼女を、なんとなく目で追う。歩く度に揺れる金色の髪と、ほのかに香るやさしい匂い。彼女は完璧だ。非の打ち所のない人間と言っても過言ではないだろう。だからだろうか、彼女は私に頼ることをしてくれない。今だって、大量の資料を軽々と持って、まるで重さなんて感じていないみたいに歩いている。それがなんだか寂しくて、届くはずもない手を彼女の背に伸ばす。ゆっくりと振り向いた彼女のその動作は、やはり完璧で、浮かべる笑みにも隙がない。「どうしたの、海未」ゆるゆると首を振って何でもないことを示すけれど、それでも彼女は私の顔を心配そうにのぞき込む。私は、彼女のなにを知っているだろうか。私は、彼女になにか、届くものを持っているだろうか。いっそ彼女の心ごと、持ち去ってしまえたら。それぐらいなら、持っていくのを許してくれるだろうか。……なんて、心を奪われそうになっているのは、私の方なのに。
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うみえり垂れ流し!改行はだるかった