episode.1
「行ってきます。」
私は、そうドアの向こうに声を掛ける。
「行ってらっしゃい」
そう、気だるげに言うのはママだ。
ママの声を聞き、玄関のドアをしめる。
私は、学校へと歩き出した。
×××
「…では、きょうはこれで終わります。日直さん、号令!」
「規律、礼っ!
ありがとうございました。」
日直の号令が終わるとクラスの皆は、好きなことをし始める。
教室は、移動しないから急がなくてもいい。
私も、教室の端で本を読む。
その時。
私の、後ろの席でガタリと物音。
横目でチラリとみると、クラスの女子なリーダー的存在の安西さんが立ち上がっていた。
多分、仲の良い子の席に言って大声で喋るんだろうな。
安西さんのグループは比較的、派手な子が多い。
そして、うるさい。
私みたいに、本を読んだりしている大人しい子も、安西さん達をチラチラ見て迷惑そうな顔をしているもん。
私も勿論迷惑してる。
だけど、あの安西さんに立ち向かっていく勇気など誰もあるわけがない。
だから、仕方なく笑い声でうるさい教室で読むしかないんだ。
お昼休みには、速攻で図書館へ。
図書館は、静かだからいいんだよね。
早くお昼休みにならないかな、なんて私が思っているとチャイムがなる。
私は、読みかけの本に栞を挟んで直した。