第一話 予測出来ない未来を見たい!キュアシリウス誕生
「小泉杏です。よろしくお願いします」
淡々と簡単な自己紹介を済ませる。好奇の視線を私に向けるクラスメイトを一瞥した。比較的愛嬌のある人が多いが、仲良くなりたいという思いはなかった。むしろ、心の中で溜め息をついてしまう。
先生に促され、窓際の一番後ろの席に私は足を進めた。その間も、私はクラスメイト達に注目されていた。しかし、会釈をすることも微笑むこともしなかった。
転校生って、なにかとめんどくさい。
「隣よろしくね!」
席に着いた瞬間、隣の人がにこりと笑みを向けてきた。背中辺りまでの茶髪を耳と同じ高さで一つに結んだ彼女は、私に顔を近付ける。反射的に私は、彼女から引いた。
「私、杉崎菜子っていうの。仲良くしよ!」
「……私は仲良くする気ないから」
表情を変えずに、私はそう言った。彼女の反応には見向きもせず、黒板の方に向き直る。だが、先生の話を真面目に聞く気にもなれなかった。
ふいに、私は空に視線を移動させた。元気な朝を象徴する清々しい青空は、前の学校とはどこか違うように思えた。