【東方project二次創作小説 】秘封夢現境 〜 ユメミザカイ

葉っぱ天国 > 二次創作 > スレ一覧
2:安曇 桜花:2018/05/14(月) 22:16 ID:hz2

不定期更新( ^ω^ )一話です

私–––宇佐見蓮子は、誰もいない寂れた神社にて、力無く言った。
「…メリー、貴方…一体どこに行ったの?」
返事はない。誰もいないのだから あたりまえ、だけれど。
草が生い茂り、神隠しの名スポットとなった博麗神社。
私は写真を裏にする。そこには、
『夢を現に変えて』


一生涯の相棒、マエリベリー・ハーンが行方不明になったのは、つい最近のことだ。
最後にメリーから連絡があったのは、一昨日。それは、見たことに無い境界を発見したから、来て欲しい、と言うものだった。
メリーの電話の声が震えていた。
『…ええ、まるで…、眼がいっぱいあって、こちらから覗いているような。明らか今まで見てきた境界とは違うの。もしかしたら、私がみた夢の世界に繋がっているかもしれないわ…』
『で、その境界のあるそこは何処なの?』
『蓮子もよく知ってるでしょ。…神隠しで有名な––––』
『『博麗神社』』
思いっきりハモって、私は苦笑する。
『ハイハイ、じゃあ、今行くから』
そう言って、電話を切ったのだけれど…
博麗神社に、メリーの姿は無かった。最初は珍しくメリーが遅れているのかと思ったけど、あるものを見つけた。
電話ボックス–––。この時代じゃあ、オークションにかけられる程値打ちのある、昔の物。
つまりメリーは、博麗神社にて境界を発見して、この電話ボックスから一直線に私にかけてきたということ…。
それの証拠として、電話ボックスには、メリーの書いたものと思われるノートと、写真が出てきたのだ。
写真の裏には、一言。
『夢を現に変えて。』
そしてノートには、ここでは無いだろう別世界の地図と、それの説明のようなことがあった。

紅いお屋敷 天然の筍が取れる場所 咲くことの無い花 咲き乱れる花 消えた神様 地下の怨念
そして、そして、そこに住む人間と、人間では無い何か
夢を現に変えて そしたら夢の世界は終わる

「…紅いお屋敷と天然の筍は聞いたけれど…その他は一体全体何のことだか…メリーってば全く、もっとわかりやすく書いて欲しかったわ」

ノートに写真を挟む。
月光に照らされた写真の中の神社は、一体何を表しているんだろう…
「考えてる暇なんて、無いんだから。 ––メリーを唯一知ってる私が、メリーを探さなきゃ」

メリーという存在の記憶が、みんなから、そして私から、奪われる前に。
私がメリーを探さなきゃ…
神社の正面に無いってことは、きっと神社の裏にある。
蓮子は導かれるように神社の裏に回った。
「…こ、これが、境界?」
それは、この世のものでは無い、と私の本能が告げた。
リボンが両端に付いた、眼がいっぱいある、…境界。
メリーはいつもこんなのが見えていたの?
私はスッと境界に手を伸ばす。

「…メリー、貴方は私より先に境界へ入って、…夢の世界に行っちゃったの?私を置いて…… ううん、夢の世界でメリーを見つけたら言ってやらなくちゃね。何で私より先に行ったのよって」
境界へ、ズブズブ入り込んで行く。
怖くはなかった。ここに入ればメリーと会える。ちょっと離れただけで メリーシックだなんて恥ずかしいけど、私が夢の世界に入って現になれば、一緒にいられる。メリーの夢を現に変えられる…。
「よーし。メリー、行くわよ!」
もう、此処にはいない、たった一人の相棒の名を口にして。

「…!」
お祭りのような音楽が流れていく。
「…あれ、…博麗神社じゃない」
神社の裏から、登りきったはずの階段の一番下に位置は変わっているけれど。
「…何かが違う」
さっきより寂れてない。それに–––人の声。
神社の階段を登りきると…
「!?」
そこには。人と、人ならざる者たちの、
宴があった。


全部 次100> キーワード
名前 メモ