※注意
1レス目に「恋愛要素はそんなに濃くありません」と書きましたが、この話はかなり濃いと思われます。
そして初の高木さん視点なのでキャラ崩壊してるかもしれないし、完全なる想像で書いています。
ー思わせぶりなサインー
「たーかーぎーさーん!」
「あはは、ごめんね西片ー」
絶対反省してない、と言わんばかりに私の方を睨んでくる西片。それとニヤニヤする私。バカみたいに見えるかもしれないけど、これが日常。……だって、西片からかうの楽しいんだもん。
ちなみに今日のからかいは「パンツ見えてるよ」ドッキリ。ズボンの方見て顔真っ赤にしながら叫んでる西片、面白かったなー。
「……ふふっ……あーはっはっは!」
思い出したら余計に面白くなってきて、私はまた笑う。一方の西片は、さっきみたいにまた顔を真っ赤にして震えていた。……その表情が私は好き。
「クソっ……わ、笑っていられるのも今のうちだよ高木さん!」
「えー、どうかなー?」
私が笑うのをやめると、西片は急にドヤ顔になってそう言う。正直西片が私をからかうことが出来るのかは微妙なんだけど……西片、たまに怖いからね。クリティカル、怖い。
「絶対に辱めてやるからな!」
「また言うのー? それ」
……こうやって意地になってくるところも好き。そして何かやろうとして空回りするところも好き。それを見たいから私は彼をからかい続ける。……あっ、あと……
―――それが、彼に対する私なりの近づき方。
不器用過ぎて笑えてくるよね。でも、入学式のあの日、私は彼を知った。からかって近づいた。好きになった。なんで西片にこんな感情を抱き始めたのだろう。それはやっぱりわかんない。……わかんないけど、からかわれてる彼が好きなのは確実。
「……ま、からかうのをやめてくれたら一番いいんだけど」
……だから。
「やめてあげなーい」
「ええっ!?」
好きな表情の君を見るために、君と近づくために……私は、からかうのをやめてあげないよ。だけど、鈍感な君はそんな私の気持ちを分かってくれるはずがないから、
「俺は一生高木さんに遊ばれ続けるのか……」
悪ふざけ、そう思うだけだよね。
待つだけじゃ変わらない。私から、もっと今まで以上に好意のサインを出さなきゃ。……「好き」って直接伝えないのは……もう暫く今のままでいたいのか、あるいは単に私が恥ずかしいだけなのか。
自分のことな筈なのに、気が遠くなる。分かんない。分かんない。
「……高木さん?」
「あ、ごめん。ちょっと眠くて」
思考が危ないところに行っちゃったのかな。ぼーっとしてて、あの鈍感な西片に心配されるくらいだった。……この言い方はちょっと失礼かな。まあいいや。とにかく……
「ねえ、西片」
「何?高木さん」
立ち上がった西片を呼び止める。
「私の事、ずっと見てて?」
自分でも意味わかんないことを言ったと思う。けど、これが私のサイン。
…………気づいてくれるかな。