【八人の化物狩り:壱】
「お〜志々雄はんやん」
「張か。何だ?俺に用でもあるのか?」
「いや、何となく昔を懐かしんでただけや」
「そう言えばお前と初めて会ったときもこんな感じだったな」
〜四ヶ月前〜
グシャ、バキッ、ドガッ
「た、助けてくれぇ」
「なんや。折角かっこよさそうな刀持っとるから奪おう思ったのに只の雑魚やないか。ほんまつまらんやっちゃ。」
張はこの頃は大阪で刀を強奪する毎日を送っていた。
すると・・?
「ほぅ。お前が巷で有名な『刀狩』の張か。」
「そうやけど?」
「俺は今『懐刀を探してる』ところなんだ。ついてきてくれるか?」
な・・なんやこの木乃伊男は。『刀狩』のワイにむかって懐刀を探してるやと!立派な宣戦布告や‼こうなったら・・
「ほなら、勝負といきましょか?あんたの持ってるそのギザギザした刀と(=無限刃)そこの優男の持ってる菊一文字、とワイの持ってる刀全部賭けて勝負や!」
志々雄(まさか『懐刀を探してるの』意味を勘違いしてるとはな・・)
宗次郎(何で僕の刀まで・・^^)
《勝負》
「ワイの武器は連刃刀。この武器はやなぁ、ちょっとだけ間隔が空いとることによって傷の調合がうまく出来へんのや。つまり・・傷つけられたら、その部分が腐って死に至らしめるんじゃぁ!」
張は一気に突進した。
「甘めぇな。そんなもんで俺に傷なんか付けれねぇぜ。」
そういうと素早く回り、カウンター技を仕掛けた。
当たった場所が背中だったため、張は対応できずに隣の破落戸長屋にすっ飛ばされた。
「な・・なかなかの実力の持ち主やな、あんた」
あくまで戦い続けるようだった。
「やけどなぁ、次はこうはいかへんで‼」
そういうと、張は自分の服を脱ぎ、腰に巻いてある銀色の何かを慎重に取り出した。
「ふー、やっと取り終わったで。さて、そろそろクライマックスといきましょか。」
ふと宗次郎が聞いた。
「クライマックスの前にその刀、何て名前なんです?^^」
「確かにそれも知らずして死ぬのも不憫やろうしなぁ。教えたるわ。新井赤空作の薄刃乃太刀や。これに勝った奴は今までおらへんで!」
「ふーん、だったら始めるか。新井赤空作の無限刃で戦ってやるぜ」
「あんたも新井赤空作のかいな。ほな、ますます燃えてきたで。いざ勝負や!」
《勝負》
「ほな、本気でいかせてもらいますわ‼」
張は薄刃乃太刀の刃先を志々雄めがけて投げた。
「こんなの当たんねぇよ」
「と、思うやろ?やけどなぁ・・」
何と、刃の先端が途中で曲がったのだ。
「ちっ!」
何とか避けたものの、腕に巻いた包帯の一部が掠り、切れてしまった。
「ほな、もう一発いきましょか!」
第二段目。さっきより早く、風をも斬っているかのようだった。
ボォ!
突然異常なまでの火炎が表れ、張は驚き一度攻撃を中断した。
「な・・なんや今の‼」 ・・
「無限刃にはな、今まで俺が斬ってきた弱者の脂がこびりついてんだよ。」
「そうとわかったら話が早いわ、一気に決めさせてもらうで‼」
《《秘技:我流『大蛇』!!》》
薄刃乃太刀が波打って地面をえぐり、志々雄に迫ってくる。
シュッ!
志々雄は目にも止まらぬ早さで張の懐深くまで行き、人体急所のひとつである肝臓に並々ならぬ一撃をかました。あまりにも凄い威力に張は驚きながら倒れた。
暫くして・・・・
「・・・ワイは負けたんや。さぁ、好きな刀取っていけや」
志々雄(そうだった。こいつ勘違いしてるんだった)
宗次郎(戦闘短かかったですね。^^出番無かったし)
「・・刀はいらねぇから俺の配下になれ。」
「あんたほどの実力の持ち主ならついていくで」
こうして十本刀:『刀狩』の張は誕生した。
壱の間 完