「ねえ、遥。」
「なあに?貴音。」
私は思い切って聞いてみた。
「明日バレンタインなんだけどさ、
その...チョコ、いる?」
すると、遥はパッと笑顔になる。
「僕、チョコもらえるの?」
「あ、ああ...いるんなら、あげる、けど。」
緊張で上手く喋れない...
「あ、でも...」
ふと、遥は考え込む。
もしかして、いらない...のかな。
私の心がズキっと痛む。
すると、遥は顔を上げ、私の肩を掴んだ。
「ちょっ...なにすんのよ!?」
そのまま遥は無言で私を壁へと追い込む。
そして私の両サイドに手をつき、
逃げられないようにする。
これって...俗に言う壁ドン!?
私は急に恥ずかしくなって、
顔に熱が集まる。
遥の顔は、私の数センチ先。
つまり、少しでも顔を動かすと、
キス...をしてしまうということ。
頭が真っ白になっていた時、
遥が口を開いた。
「チョコも欲しいけど...
それより僕は、貴音が欲しいな。」
「...え?」
理解ができない。
頭にクエスチョンマークを浮かべていると、
遥はふっと笑い、
「だから、僕の彼女になってくれないか、
ってこと。
...なってくれる?」
何だろう、この感情は。
恥ずかしいけど、嬉しくて、
暖かい。
そう、答えはもう決まってる。
「うん...いいよ。」
私の答えを聞くと、
「貴音、好きだよ。」
そう言って遥は私にキスをした。
「私も...大好きだよ。」