*** 夢中なんだ、君に。***
#Lee Seokmin
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毎年訪れる冬の寒さ。
その寒さから逃げるように、いつもの図書館に入る。
静かな図書館は、心地が良い。
「…あっ、」
席に座って本を読む君を見つけた。
透明のような目で字を追う君は、とても綺麗で。
本に夢中な君は、僕が君を見つめてることに気付かない。
君の席の斜め前に、向かい合って座る。
近くで見ると、もっと綺麗だ。
「…あ、」
無意識に声が出た。
君が反応して、僕を見る。
「あっ、すみません…その本、この前読んだばっかで…」
君が読んでた本を指差す。
微笑んだ君は、まるで天使のようで。
「あの…隣、座ってもいいですか、?」
そう聞くと、笑顔で頷いてくれた。
隣に座って、君を見る。
「そ、その本面白いですよね…」
緊張して、上手く話せない。
君は突然メモの紙を出して、何かを書き始めた。
“私、言葉が話せないんです”
その字に、どこか孤独感を感じた。
「あっ…そうなんだ…」
君はまた何かを書き出した。
“よくここの図書館来てますよね。本好きなんですか?”
「うん、本読んでると心が静まる感じがして…」
君のことが気になって…なんて言えるわけない。
“私も好きなんです”
本のことだなんて分かってる。
でも少しだけ、
君の「好き」という文字にドキドキした自分がいた。
会話が途切れて、また本を読み始めた君。
君が夢中なのは本。そんなのは理解してる。
でも今は、今だけ、この瞬間だけは、
“君に夢中になってもいいですか”
心の中で文字にした。
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*** 夢中なんだ、君に。***
#Lee Seokmin