「助けてください」
そう口にすることすらできない私は臆病者。
臆病者には救われる権利なんてない。
自分より上の人間に虐げられるために生まれた人間。それが私の唯一の存在意義だ。
きっと、存在意義があるだけ、私は幸せなんだろう。
臆病者で出来損ない、そんな私を生かしてくれる両親は優しく、慈悲深い、理想の親で。
私が悪いのだから。生活費を浪費するだけの、愚かな人間。
もはや人間ではないのかもしれない。命を持たない、大人のためのサンドバック。
臆病者はただ怯えていることしかできない運命。
こんな世の中は壊れている。……そう思い込む。
実際に壊れているのは私だと刷り混まれながら。