『休日と消耗品』視点:中島敦♀
今日は仕事も無く、久々の休日…なのですが
鏡花ちゃんは、ナオミさんや与謝野医師と出掛けてしまったので家には僕一人しか居ない…
此の儘、寝て過ごそうかと思っていた矢先に
家の鈴(チャイム)が鳴る
中島敦♀「はーい…」
玄関の扉をガチャッと開けると、其処には包帯を身体中に巻き付けた男……
そう、太宰治が立っていた
太宰治「やぁ、暇かい?暇なら私に付き合って欲しいの岳れど」
そう云うと、太宰さんはニコッと微笑んだ
特にする事も無く、僕は「大丈夫ですよ」と云うと
支度の準備をして家を後にした
中島敦♀「太宰さんが何処かに誘うなんて珍しいですね…?」
「何かあったんですか?」と聞きたい処だったけれど
事情が有るだろうと思い、敢えて僕は何も聞かなかった
けれど、太宰さんはそんな僕の事をお見通して太宰さんは僕に云った
太宰治「私振られたのだよ」
其の言葉を聞いて僕はドキッとした…
昨日、僕は芥川に別れを告げた…
まるで其れを見透かされてる様な気がして怖くなった
中島敦♀「太宰さんでも振られる事…有るんですね…」
苦笑し乍、僕は其う云って誤魔化した
何も気付かれない様に……バレ無い様にと…
太宰治「そうなのだよ〜、振ったあの子は勿体無い事をしているよねぇ」
其んな会話をし乍歩いていると
綺麗なお花屋さんで足が止まった
其処には綺麗な紅い薔薇の花が沢山置いてあった…
何時かの僕の誕生日に…彼奴が呉れた……
紅い薔薇………
太宰治「消耗品は私には必要無いね……」
ボソッと云った太宰さんの声が…
少し冷たく悲しそうな響きをしていた……_____
NEXT>>7
第2章『見えない姿、唯見えるのは彼の日の言葉』