【>>5 レス、ありがとナス!ゴースト組…良いナスね!】
放課後、窓から野球部のかけ声が聞こえる教室。向かい合わせにくっつけられた机の相方である椅子に座り、どこか気だるさを帯びた溜め息を吐こうとする。しかし、その溜め息を遮るように、けたたましいノックが教室の扉を襲った。それをやれやれと言った感じに、少女は扉を睨む。
「…遅いわよスケベレッド、五時半は私のありがたーい言葉を聴かせるって言ったじゃない。」
するとドアが、ガーー!と開き、何故か満足気な顔の少年が入ってきた。
「いやーごめんごめん!ちょっとトト子ちゃんナンパしてた…って、スケベレッドは無くない!?」
スケベレットと呼ばれたこの少年の名前は松野おそ松。呆れた顔で、座れと促しているのが博麗霊夢。学級委員長だ。
「またナンパしてたの?どうせわかさぎ姫にまた追い払われたんでしょ?だからあんたはスケベレッドなのよ。」
容赦無い言葉をズバズバ吐き、座ったおそ松を更にヘラヘラさせる。
「だってさ、可愛い子いたら話しかける!これ、俺のアイデンティティだから!あ、もしかして嫉妬してる?」
分かったと言う風に手を打つと、サッと席を立ち、霊夢のほっぺをつつこうとするが、霊夢もまた、サッと席から立ち、仁王立ちしながら、おそ松をドライな目で見つめる。
「あんたねぇ…良いの?魔理沙の事好きなのに、私にこんな事して。…まだ説教が足りないけど、今日は開放してあげるわ。」
教室の時計をチラりと見て、次はキザブルーか…とぼやいた後に、ほら帰った帰った、とおそ松の方を見ると、茹でたカニの様に顔を赤くしたおそ松が居た。
「ちょっ…!?なんで知ってんだよ!?」
酷く慌てるおそ松を見ても、霊夢はけろっとした様子で、背伸びをする。
「あれ?当たってる?まぁ、そうよね。あんた、魔理沙の前だと、変にニヤニヤしてるもの。」
おそ松が、あり得ないと言った風に、口をモゴモゴさせると同時に、先程と同じようにまドアがガーー!と開き、金髪の少女が入ってきた。
「霊夢ー!一緒に帰ろうぜー!…って、おそ松、また居残りか?」
部活を全力で抜け出したのだろう。可憐な金髪は所々ボサボサだった。全く…と、威張るようにおそ松を見ると、霊夢の腕を引っ張る。そんな二人を見て、おそ松は声にならない悲鳴をあげる。
「あ…あ…えーと…」「魔理沙、見ての通り、おそ松は呼吸困難?になってるわ。私はこの後も居残りしなきゃだし、かといってコイツをほっとく訳にもいかないから、コイツを持って帰って頂戴。」
ニヤりと笑いながら、おそ松の肩をポンと叩くと、魔理沙におそ松のボロい鞄を持たせる。
「えー?せっかく霊夢とカフェ寄ってコイバナしたかったのに〜」
不満の声を漏らしながらも、魔理沙はしっかりおそ松の鞄を抱え、自分の財布を確認する。霊夢はちょっと苦笑いしながら、おそ松の方をチラりと見る。
「コイバナは私には似合わないわ。そこに居る奴が付き合ってくれるわよ。」
魔理沙とおそ松を廊下へ出すと、ぎこちなく歩いていく二人を見送る。
「なー霊夢、おそ松はパフェ奢ってくれるか?」
霊夢は何も言わず、ただ二人をニヤニヤ笑うだけであった。魔理沙はまた不満そうな顔になる。
「あ、あのさ!俺…!安い奴だったら奢れる…!」
女子二人の空気に耐えられなかったのか、おそ松が久々に喋る。魔理沙は一瞬目を丸くしたが、すぐに目を輝かせ、おそ松の腕を握る。
「本当か!?やったー!おそ松、愛してるー!勿論嘘だけど!」
すっかり上機嫌になった魔理沙を見て、霊夢は安堵の息を漏らす。二人の邪魔しちゃ悪いと思い、霊夢はさっさと席へ戻る。
「…ありがとな、霊夢。」
誰にも聞こえない様な声で、おそ松は呟いた。