第1話 原作/大詩 りえ
「にゃーごろろーん」
「どこの町にもいるんだね。猫って」
私の足にすりすりしている猫に話しかける。
「今回は卒業までいるってさ。本当かっつーの。今日からまた新しい学…」
「にゃー」
ばいにゃんっとでも言うように、猫は走っていった。
「ってオイ!最後まで話聞けっつーの!」
「ちぇっはくじょーもんっ。いーよ、どーせ慣れっこだから!」
周 未希子、11歳。
今日から6年生です。
「担任の堀内です。よろしくね!周さんて転勤族なんだねー。
三回も転校してるとさすがにもう緊張とかしないんかな?」
担任の堀内先生が少し微笑んで声をかけるが、
「え。元々そーいうタイプじゃないんで」
と、スパッと言う。
「えっあっそーなんだ!えーと、うちのクラス結構うるさいけど
仲良くできるといーね!」
「はぁ」
さすがに先生も焦っているようだ。
別にどこに行こうが、私は深入りなんてしないのだ。
6年1組は、新学年と言うこともありさぞかしざわついていた。
そこへ、先生がガラッと扉を開ける。
「はーい、皆席ついてー。進級おめでとーう。
今日は転校生を紹介するぞー!」
そうすると、さらにざわつく。
「先生、まだ猫田来てなーい」
「新年度も相変わらずだな。ほっとけ。
さっ、入って!」
「名前はあ…」
それくらい自分で言うよ。
「周 未希子です。みっきーって呼んでください」
「みっきーよろしくーっ」
「あとはテキトーによろしくお願いしやーす」
「すでにテキトーだ!」
私がすたすたと歩いていくと先生が突っ込む。
ノリは悪くない。
どーせ今回も長くてせーぜー1年の付き合いでしょ。
転校を重ねるにつれて私は気づいたのだ。
すぐさよーならするとわかっている人たちと仲良くなる意味なんてあるのか?と。
以来私は"その場限り"の学校生活を送ってきた。
好かれよーが嫌われよーがその場限りなら関係ないもんね。
だから私は仲良しごっこみたいなことはしないのだ。