―あたしは最近、反射的にエルサを避けるように
なっていた。…だってあたしが全部、悪いから。
エルサはずっとずっと自分の魔法の力を隠していた。
それはあたしのせい。あたしが調子に乗ったから。
その話をエルサにした時、
「アナのせいじゃないわ。私がちゃんと出来なかったから…」
と優しくあたしの頭を撫でてくれた。
―エルサのせい?違う、エルサは優しいからあたしが
傷つかないようにそう言ってくれてるだけ。
あの時、あたしがちゃんとしてればエルサは
魔法の力を隠して苦しむことも無かった。そう。
あたしは、自らの手で、二人の楽しい日々を
壊したのだ。そういう負い目もあって、ずっと
エルサを避けてる。
**
「―ねぇアナ?私、今日はもう仕事終わったの。だから一緒に雪だるまでも作らない?」
―雪だるま。その単語を聞いて、あたしの胸がチクリと
痛む。何故だろう、小さい頃はあんなにエルサと
雪だるま作りたいって思ってたのに。今は何だか
少しだけ怖い。あたしは出来るだけ思いきりの笑顔を
作って
「あ…ご、ごめんね、エルサ。あたし、ちょっと用事が…」
と断る。エルサは怪訝そうな顔をして、眉をひそめる。
「用事?用事なんてあったかしら?私は聞いてないわよ」
流石"お姉ちゃん "鋭い。
「ついさっき出来たの」
もう当たって砕けろみたいな投げやりな気持ちで
あたしは言った。エルサから逃げるみたいにダッと走る。
―ごめんね、エルサ。