そうこうしている内に、2Bと9Sの二人は目標の水没都市へたどり着いた。朽ちながらも未だ屹立する数棟の高層ビルの間を抜ければ、視界いっぱいに海が広がる。遠くにはぽつりぽつりとまばらに立つ高層ビルと、過去の戦いで破壊された超巨大機械生命体の残骸が寂しげに立ち尽くしている。
「……どうやらあれみたいですね。前回の偵察では機械生命体の数が多すぎて近寄れなかったらしいですが……。今も沢山いますね。」
地殻変動によって海岸線そのものとなった道路の片隅になにか大きなものがあるのを指差す9S。目標物の周囲には、等身の高い機械生命体が十数体歩き回っている。
「問題ない。殲滅すれば。」
「あっ、2B!やっぱり手が早いなあ……!」
『推奨:追従と援護。』
言うが早いか駆け出した2Bを追って、9Sも慌ててついていく。それは傍らに浮遊する随行支援ユニット"ポッド153"の提案とほぼ同時だった。